慢性的な人手不足により、近年では多くの企業において給与・待遇の見直しや労働条件の改善など、さまざまな対策が打ち出されています。そこで今回は、全国の500人に人手不足解消のために有効な取り組みについてアンケート調査を実施し、その結果についてまとめました。
500人を対象に人手不足についてのアンケート
調査概要
対象者:20歳~69歳の男女
サンプル数:500人
居住地:全国
調査方法:ネットリサーチ
アンケート実施日:2025年04月18日
質問と回答
質問:人手不足解消のために有効だと思う取り組みは何だと思いますか?
質問に対しての回答選択肢は以下 ※複数回答可
1.給与・待遇の改善
2.リモートや柔軟な働き方の導入
3.派遣社員・アルバイト等の活用
4.業務の自動化・効率化
5.採用方法の見直し
6.社員教育の充実(研修制度・リスキング支援など)
7.人間関係の構築
8.その他(入力してください)
9.特になし/わからない
人手不足解消には『給与・待遇の改善』が最も効果的
全国の20代〜60代の男女を対象に、「人手不足解消のために有効だと思う取り組みは何だと思いますか?」というアンケートを実施したところ、最も多かった回答は「給与・待遇の改善」で48.2%でした。次いで、「業務の自動化・効率化」が25.8%、「派遣社員・アルバイト等の活用」が20.8%で続くという結果になりました。
人手不足の解決策は世代次第?──20代と30代以上の意識の分岐点
年代別で見ると、30代から60代では50%以上が「給与・待遇の改善」と回答したのに対して、20代では40%を下回っています。また20代は53%が「特になし/わからない」と回答しており、20代と30代以上では明確な差が生まれる結果となりました。20代の間では企業の施策に対する知識や実感が乏しく、「何が解決につながるのか」が明確でない可能性が推察されます。その一方で、30代〜50代は生活費や家庭、子育てなどの責任が増える年代であることから、給与や待遇の改善がより直接的かつ切実な関心事となっており、職場選びや定着意欲に直結する重要な要素と認識されていることが読み取れます。
未婚・既婚別に見る働き方ニーズの違いとその背景
未婚・既婚別で見ると、最も差が大きかった項目は「リモートや柔軟な働き方の導入」で、既婚者の方の回答が5.5%多くなりました。また、「給与・待遇の改善」や「派遣社員・アルバイト等の活用」といった項目でも既婚者の方の回答が多くなっています。既婚者の方は子育てをしているケースも多く、柔軟な働き方ができれば、子どもの送迎や急な体調不良時の対応などがしやすくなると考えられます。そのような働き方を認めている職場は、子育て世代にとって働きやすい環境となり、採用力の向上や社員の定着にも寄与することで、結果として人手不足の解消につながる可能性が伺えました。また、既婚者の場合は子どもの教育費学費や住宅ローンといった生活に関わる固定費の負担を抱えているケースもあることから、給与・待遇の改善を望む方がより多いことが推察されました。
年収によって異なる人手不足解消へのアプローチ
世帯年収別で見ると、〜500万円の層では「給与・待遇の改善」と回答した方が約40%だったのに対して、501万〜1,000万円と1,001万円〜の層では50%を上回っており、所得によって差が生まれる結果となりました。高所得者層は管理職や専門性の高い仕事に従事していることが多く、報酬と成果のバランスに敏感であることが伺えます。また、高所得者層は「派遣社員・アルバイト等の活用」と「採用手法の見直し」の割合も高く、組織運営や人的資源の最適化といった観点から回答している様子が伺えます。
少子高齢化や働き方改革の推進といった社会構造の変化に伴い、多くの業界で人手不足が深刻化しています。こうしたなかで人材を確保し、定着させていくためには、単に「働きやすい環境」を提供するだけでなく、従業員のライフステージや多様な背景に応じた柔軟な対策が求められています。
それらの取り組みが、結果として組織の魅力を高め、売り手市場においても人材に選ばれる企業となるための鍵となるでしょう。
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「給与」だけじゃない、人が集まる職場に必要なこと──調査から見えた属性別ニーズ
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