ご自身の事業が軌道に乗り始めたことで
そう考える事業主の方々もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、オフィスの移転にはかなりの手間と計画性が必要となります。
オフィス移転の目的をしっかり定め、事前の準備をきちんと行わないと、いろいろなトラブルが生じることも考えられます。
そこでこの記事では、オフィス移転の手続きと費用、そして移転の際の注意点等を解説します。
- オフィス移転に必要なスケジュールの組み方
- オフィス移転に関する各種の手続き内容とタイミング
- オフィス移転に掛かる費用
- オフィス移転で生じる問題と注意点
目次
オフィス移転の理由やコンセプトを明確にする
こちらでは、新オフィスへ移転する前の事前準備について解説します。
- オフィス移転の目的は?
- 新オフィスのコンセプトやレイアウトを決める
- 新オフィスの立地
オフィス移転の目的は?
まず、ご自身の会社が、どんな目的でオフィスへ移転をするのか考えてみましょう。
そうすれば、自社にとって新オフィスをどのように選定するべきかがわかります。
- 人材採用を強化したい!
- 自社のブランド化を目指す!
- 業績が悪化し移転
人材採用を強化したい!
ご自身の会社が業績好調で、さらに人材を充実させたいなら、優秀な人材から選んでもらえる環境を整えることが大切です。
給与はもちろん休暇が取りやすい環境かも重要です。
それと同じように、実際に働く環境も優秀な人材が来てくれる重要な選択肢と言えます。
例えば次のような新オフィスが理想的です。
- 高層ビル内で眺望が最高
- 開放的で清潔なフロア
- 新築のおしゃれなオフィス
- 社内にスポーツジム・カフェ等が設置
- トイレが清潔で機能的
この全てが揃ったオフィスを選ぶ必要はないものの、職場が居心地の良い環境なら、現在の従業員のモチベーションは上がり、新たな人材の確保も行い易くなります。
また、最近の傾向では託児所があるかどうかもポイントです。
自社のブランド化を目指す!
ご自身の会社の業績が安定し、資金的に余裕が出てきたら、自社のブランド化を狙うことで更なる業績UPが見込めます。
この自社をブランド化する方法としては、自社と同じ業種の企業が集まっているような場所へオフィスを移転することも考えられます。
特定の業種が集まる有名な地域に移転すれば、その移転したという事実があるだけで、自社が順調に成長している部分をアピールすることも可能です。
一流の企業が集まる場所へオフィスを構えることができれば、自社の知名度・社会的信用も高まり、取引件数の増加も期待できることでしょう。
業績が悪化し移転
(1)(2)とは逆で、業績悪化した場合にもオフィス移転が考えられます。
賃料の安いオフィスへ移転し経費削減を図るのです。
他の経費を削減することも、もちろん検討するべきです。
とはいえ、効率的に経費削減をするなら、固定費をできるだけ安く抑えることが必要になるはずです。
この固定費で一番高い支出となるのは、皆さんもご存知の通り「オフィス賃料」です。
こちらを安くできれば効果的な経費削減が実現できることでしょう。
ただし、これだけで業績が持ち直せば良いものの、業績悪化のケースでは従業員数を減らすことになる点も留意しておくべきです。
新オフィスのコンセプトやレイアウトを決める
新オフィスに移転するならオフィスデザイン等へもこだわりたいものです。
新オフィスが単なる眺望が良いとか、清潔な空間というだけではなく、オフィスのコンセプトづくり・レイアウトも検討することで、従業員が働きやすい環境を整え業務効率UPも期待できます。
- 新オフィスのコンセプトはどのように決める?
- 新オフィスのレイアウトはどのように決める
新オフィスのコンセプトはどのように決める?
新オフィスでは、いきなり斬新なデザインにすれば良いという訳ではなく、現オフィスが抱える課題をよく考慮して新オフィスのコンセプトは決めていきましょう。
コンセプトを従業員がよくコミュニケーションを取りつつ、仕事が効率化できるオフィスとするなら次のように検討していきます。
例えば、従業員同士がコミュニケーションをとり難い環境なら、新オフィスではオフィスデザインをどのように変えれば解決できそうかを従業員と話し合うことも大切です。
もちろん、ご自身をはじめとした経営陣と、デザイン会社とで打ち合わせをすればオフィスデザインは決められます。
しかし、実際に使用するのは従業員です。
従業員からもアイデアを出してもらった方が、今まで以上に会社に対する愛着が湧くことでしょう。
新オフィスのレイアウトはどのように決める
新オフィスのコンセプトが決まればレイアウトを決めます。
従業員のコミュニケーションのしやすさを重視する場合、もちろん従業員同士の会話が生まれやすいレイアウトにするべきです。
例えば共有デスクの配置や、オフィス家具を見直すこともが必要になります。
デスクの配置ならば、各グループごとにデスクを向かい合わせで配置する日本のオフィスで一般的な「島型」、従業員の固定席を廃止・自由に席が選べるレイアウトをする等、自社のニーズに合わせてレイアウトを決めます。
新オフィスの立地
肝心の新オフィスの立地ですが、もちろん交通の便がよく、駅や役所等が近くにある新オフィスを選定することになるでしょう。
ただし、前述した自社のブランド化を目指すなら、同じ業界・業種が集まるエリアを選定します。
もちろん、会社のオフィスを「こう選ばなければいけない!」という決まりはありません。
しかし、昔からの慣例・新しいトレンドなどを背景として、同じ業界・業種の会社は同じエリアに集まる傾向があります。
例えば、東京に関して言えば
- 金融関係:丸の内・大手町・兜町
- 外資系航空会社:虎ノ門・神谷町
- アパレル:銀座・表参道
といった感じです。
その他、賃貸費用(坪単価)が自社にとって過剰な負担とならないか、新オフィスの立地は自社のイメージにふさわしいかどうか、慎重に検討して判断するべきです。
オフィス移転のスケジュール
こちらでは、現オフィスの明け渡し、新オフィスに移る際の手続き、各行政機関への届け出等の手順を解説します。
- 移設前の準備|期間:移転の1年前~半年前
- 移転に関連する業者選定|期間:移転の半年前~3か月前
- 移転手続きと連絡|期間:移転の3か月前~1か月前
- 引っ越し開始・現状回復・届出|期間:~解約日前まで
- 引っ越し後の届出|移転後から4週間以内
移設前の準備|期間:移転の1年前~半年前
新オフィスの移転先が決まらなければ先に進みません。
自社のニーズに合った立地なのかはもちろん、オフィスの広さ・設備等をよく検討します。
- 新オフィス選定
- 新オフィス選定・賃貸借契約
- 新オフィス移転計画作成・発表
- 解約予告
新オフィス選定
少なくとも次の項目はチェックしておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
立地・場所を選ぶ | 前述した目的等で自社のニーズに合うエリアを選定。 |
従業員の通勤時間・交通費 | 所在地が変わるので、通勤時間やその費用を確認。 |
駅からの所要時間 | 最寄駅からの所要時間を確認。徒歩10分以内が理想。 |
銀行・郵便局・役所の所在地 | 金融機関や公的な機関が近くにあるか確認。 |
飲食店・商業施設 | 絶対必要とは言えないが、昼食等が不便だと不安。 |
ビル・他の入居テナント | 大規模な商業ビルか、雑居ビルでどんなお店が入っているか確認。 |
オフィス賃料 | 移転後に過重な費用負担とならないか確認 |
新オフィス選定・賃貸借契約
希望のオフィスが見つかったら、内装工事が出来るかどうか等の工事区分、そして消防設備工事の有無は必ず確認します。
何月何日に利用を開始するか等、賃貸借契約書へ明記し、建物オーナーと契約を締結します。
新オフィス移転計画作成・発表
新オフィスを選定したら、余裕を持って実行へ移せるよう、全従業員に移設の手順・期間を説明、そのスケジュールを共有します。
当然、オフィス機器等の荷物の梱包・移転は業者が行います。
とはいえ、仕事をなるべく支障なく進められるよう、身の回りの機器・用具の片づけは従業員総出で実施します。
荷物のまとめ方のルールも決めておきます。
解約予告
現オフィスをいきなり解約したら、現在のオフィスの建物オーナーが困惑してしまいます。
オフィスの解約は余裕を持って6ヶ月、遅くとも3ヶ月前に解約予告をするのが一般的です。
それと同時に預託金(保証金)の返還時期確認、原状回復条件・費用も確認しておきましょう。
移転に関連する業者選定|期間:移転の半年前~3か月前
- 引越業者の選定
- 内装業者の選定
- 廃棄物処理業者の選定
- オフィス引っ越し当日の作業割り当て確認
引越業者の選定
予算に応じて、自社に都合の良い引越業者を選びます。
ただし、3月の引っ越しシーズンは個人の場合も事業所も同様に、引っ越し日程が調整し難くなります。
なるべく引っ越しシーズンを避け、新オフィスへの引っ越し日時を決めましょう。
内装業者の選定
新オフィスのデザインや電気・通信等の工事の予算・スケジュール調整を行います。
自社の理想により合った内装業者を選定しましょう。
廃棄物処理業者の選定
自社の所有物だった機材や備品を処分するのか、それとも新オフィスでも継続して利用するのかを決めます。
「移転物品・残留物品・廃棄物リスト」を作成しましょう。
処分する場合は廃棄物処理業者を選定します。
廃棄物の処理に関しても費用が発生します。
自社の予算に近い費用で対応してくれる業者を選びましょう。
ただし、機材や備品はリサイクル業者から査定してもらい、買取OKの場合もあります。
オフィス引っ越し当日の作業割り当て確認
業者が決まれば後はお任せというわけにはいきません。
荷物を運び出すオフィスでも、引っ越し先の新オフィスでも、荷物の搬出漏れのないか等について解る担当者が、業者へ指示しなければいけません。
引越先の新オフィスの場合、デスク・イス・機器等の細かい配置、荷物の置き場等、業者に指示を出さなければなりません。
そのため、現オフィス・新オフィスにそれぞれ責任者を配置し、前もってスタッフの役割分担を決めておきましょう。
移転手続きと連絡|期間:移転の3か月前~1か月前
自社の業務に欠かせない電話・インターネットに関する手続き、取引先への新オフィス移転の報告が必要です。
- 電話・インターネットに関する手続き
- 事前に取引先へ移転の報告
- ホームページ等でも速やかに報告
電話・インターネットに関する手続き
次の手順で手続きを行います。
移転を機に解約するなら、新たな契約先も決めておきます。
- 申し込み:お問い合わせフォームまたは電話で申込
- 書類提出:新規契約の場合も、継続して契約する場合も書類の提出は必要。
- 最終確認:工事日程等が案内され、最終確認。
- 工事・開通:新オフィスへ工事業者が訪問し回線が開通。
事前に取引先へ移転の報告
新オフィスに移転した後で連絡されても、取引先は困惑してしまいます。
遅くとも移転の1ヶ月前までに取引先へ移転する旨を伝えておきます。
ホームページ等でも速やかに報告
新オフィスに移転する報告は、自社のホームページやチラシ等で伝えます。
新住所はもちろん、電話番号が変わったら忘れずに掲載します。
役員・従業員の名刺等でも、自社の住所・電話番号の変更は事前に済ませておきます。
引っ越し開始・現状回復・届出|期間:~解約日前まで
予てからの計画通り、引っ越し作業を開始します。
- オフィス原状回復工事
- オフィスの引き渡し
- 各行政機関へ届出
オフィス原状回復工事
引っ越しが完了したら、すべてOKではありません。
オフィスの賃貸した際、そのほとんどは自社の負担で「原状回復」を行います。
余分な備品・機器を撤去はもちろんですが、修繕をして元の状態に戻してようやく引き渡しです。
新オフィスへ引っ越してから1ヶ月間で、利用してきたオフィスの原状回復工事をします。
解約日まで原状回復を完了させましょう。
オフィスの引き渡し
原状回復工事を終えた上で、建物オーナーへ利用していたオフィスを引き渡します。
各行政機関へ届出
警察・消防・郵便局等へいろいろな届け出が必要です。
①移転に伴い社用車・バイクを新しい場所へ移動が必要→警察署へ申請 |
---|
車庫証明(自動車保管場所証明書)等を、車両の保管場所(駐車場)を管轄する警察署へ提出。 |
②新しいオフィスを新設→消防署へ申請 |
移転開始の7日前まで防火対象物使用開始届出書・防火対象物工事等計画届出書を入居ビルの管轄消防署へ提出。 |
③郵便局への届け出の場合 |
移転日決定後、近くの郵便局に郵便物届出変更届を提出。 |
引っ越し後の届出|移転後から4週間以内
新オフィスに無事引っ越ししても、行政機関への届出等はしっかり完了しなければいけません。
- 本店・支店移転の登記申請
- 従業員等がいる場合の手続き
- その他
本店・支店移転の登記申請
それぞれ申請手続き期限は異なります。
- 本店移転登記申請→新本店所在地管轄の法務局へ、移転日から2週間以内
- 支店移転登記申請→本店所在地管轄の法務局へ移転日から2週間以内、旧支店所在地管轄の法務局へ移転日から3週間以内、新支店所在地管轄の法務局へ移転日から4週間以内
従業員等がいる場合の手続き
①労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き(期限:所在地変更日の翌日から10日以内)
「労働保険名称、所在地等変更届」・「雇用保険事業主事業所各種変更届」を管轄の労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)へ提出します。
②健康保険・厚生年金保険の手続き(期限:移転後5日以内)
「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地名称変更(訂正)届」を、移転前の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。
③給与等の支払事務に関する手続き(期限:移転後1ヶ月以内)
給与等の支払事務を取り扱う事務所が移転した場合、「与支払事務所等の開設・移転・廃止届出」を、移転前の所在地を管轄する税務署に提出します。
④給与等の支払事務に関する手続き
本店が移転して納税地が変わった場合、「異動事項に関する届出」を、移転前の所在地を管轄する税務署へ提出します。
その他
移転後に次の届出も行います。
- 都道府県税事務所→自動車税の申告等、移転日より1か月以内
- 労働基準監督署→適用事業報告書(遅滞なく)、建設物・機械等設置移転変更届(移転日より10日以内)等
- 消防署→防火管理者選任届出、移転後すぐ
オフィス移転に関する手続き
こちらでは、オフィス移転の際に重要な契約手続きを解説します。
- 電話回線・インターネット光回線の手続き
- リース機器の手続き
- 取引先などとの契約事項
- 名刺などの印刷物の住所変更
電話回線・インターネット光回線の手続き
自社の業務に欠かせない電話・インターネットに関しての手続きは、Webや電話連絡で申し込みます。
いずれの申込方法でも
- お問い合わせ種別
- 会社名(契約者名)
- メールアドレス
- 電話番号
- 担当者
- 光回線設置場所の住所
- 契約ID 等
は明示します。
解約するならば、新規で契約するインターネット回線事業者・電話会社を選定しておきましょう。
もしも新オフィスでの契約継続の場合、電話・インターネット回線事業者は概ね次の項目を確認することになるでしょう。
- 移転先住所、移転元退去日、移転先入居日、移転希望日
- 電話番号変更の有無、電話機メーカー、導入業者情報
- 移転先の建物と移転元の建物の情報
新規契約の場合も、継続して契約する場合も書類の提出は必要です。
概ね次の書類を準備します。
- 新規契約申請書または名義変更申請書
- 登記簿謄(抄)本または印鑑証明(発行日から3ヵ月以内)
提出書類に不備が無ければ、契約先から工事日程等が案内され、最終確認を行い、新オフィスへ工事業者が訪問、電話回線・インターネット回線が開通します。
新オフィスでの事業開始後、すぐに利用できるよう遅くとも1ヶ月前までに、申し込みを行いましょう。
リース機器の手続き
ご自身の会社で利用している機器がリース契約ならば、リース機器の移転を希望する場合、リース契約を締結している会社へ事前の連絡が必要です。
契約内容にもよりますが、移転の1ヵ月前が無難です。
ただし、リース契約を中途解約はできないケースが多く、どうしても解約しなければならない場合、契約先の定めている損害金(解約金)を支払うことになります。
こちらでは新規で機器等のリース契約を締結する手続きについて解説します。
- リース機器を選定、仕様・価格・納期・物件代金の支払期限等を決定
- リース会社側が見積書を提示
- リース申込・審査:自社の会社経歴書・決算書(直近3期分)等の資料を提出
- リース契約締結:商業(法人)登記簿謄本・印鑑証明書を提出
- リース物件発注
- リース開始:自社でリース物件受領証を発行する
取引先などとの契約事項
オフィス移転の場合は、ご自身の会社のみではなく、取引先との契約内容の変更も行う必要があります。
取引先の請求書・契約書等を発行する、基幹システムの登録情報を変更してもらうのに時間がかかることはあるでしょう。
この取引先側の手間を考慮し、遅くとも移転の1か月前には挨拶状を出しておくことが理想的です。
挨拶状の送り先リストの作成、デザイン・文面の用意はなるべく移転の2か月前に始めた方が無難です。
メール署名への「移転のお知らせ」併記も、この時期から開始したいものです。
名刺などの印刷物の住所変更
自社のホームページには、移転する1~2ヶ月前からオフィス移転の告知を掲載、移転後は速やかに新住所・電話番号等、変更点を明記できるように準備しておきましょう。
少なくとも同時期には、オフィスの移転後の新しい住所・連絡手段について次の書類等へ明記しておきたいものです。
- 社判
- 印章
- ゴム印
- 名刺
- 社員証
- 封筒
- 伝票
- 契約書、請求書など各種書類
印刷業者・ハンコ業者へ事前に発注し、新オフィス移転後すぐに使用できるよう備えることが大切です。
オフィス移転に掛かる費用
オフィス移転費用の目安を是非教えて下さい。
こちらでは、オフィス移転に必要な各費用の目安を解説します。
- 新オフィスの内装などの費用
- 電話回線やインターネット光回線の工事費用
- リース機器の移設費用
- 設備・備品の運搬費用
新オフィスの内装などの費用
新オフィスの内装工事費の相場は、最低限の設備工事だけなら約5~10万円/坪、やや内装にこだわると約15~20万円/坪となります。
ただし、従業員や顧客のブランディングに寄与するような内装なら約30万円~/坪がおおよその金額相場です。
例えば、20人程度の従業員が働くオフィスならば、50坪以上必要になることでしょう。
50坪の内装の場合は、少なくとも250万円以上は必要になるはずです。
当然、オフィス面積が大きくなったり、自社のブランディングにこだわったりすれば、更に高額な内装費用が必要です。
電話回線やインターネット光回線の工事費用
こちらでは、電話回線・インターネット光回線の工事費用をみてみましょう。
電話回線の工事手数料
NTTが行う電話工事費、業者が行う電話工事費に分けて解説します。
①NTTが行う電話工事費
- 交換機工事(新設)→1,000円/1台
- 室内配線工事→既存のものが使用可2,400円/1回線、新規で使用4,800円/1回線、基本工事費4,500円/1工事
②業者が行う電話工事費
電話工事の各費用項目 | 費用 |
---|---|
人件費(派遣費) | 7,000円~10,000円/1人 |
主装置設置費 | 7,000円~15,000円/1台 |
電話機設定費 | 7,000円/1台~ |
FAX接続費 | 8,000円/1台~ |
屋内配線費 | 300円~700円/1㎡ |
材料費 | 5,000円~10,000円 |
諸経費 | 工事費の10~30% |
光回線の工事手数料
主な光回線の工事手数料は次の通りです。
光回線 | 派遣工事(手数料・工事費) | 無派遣工事(手数料・工事費) |
---|---|---|
フレッツ光(NTT東日本) | 20,680円 | 3,080円 |
AsahiNet 光 | 20,680円 | 2,200円 |
ビッグローブ光(法人) | 19,800円 | 2,200円 |
なお、業者が入らなくても、ご自身だけで設定できる工事が無派遣工事です。
光コンセントがオフィス内に1カ所でも設置されている場合、無派遣工事になります。
大掛かりな工事を行いたくないなら、新オフィス選定で光コンセントの有無も判断材料にした方が良いでしょう。
電話回線の工事手数料・光回線の工事手数料を合わせれば、従業員の20人で50坪以上の新オフィスの場合、少なくとも50万円以上の費用がかかることでしょう。
リース機器の移設費用
こちらもリース会社によって様々ですがリース機器の移設費用相場は次の通りです。
- 移設距離→同一市内で30,000円~50,000円程度
- 移設前または移設後住所の階段作業の有無→5,000円~10,000円程度
- 設定基本費用→5,000円~15,000円程度
- プリンター・スキャンの設定台数→2,000円~3,000/台
なお、安く移設したいとき代理店等ではなく運搬業者に依頼すれば、運搬費用は10,000円程度下がるかもしれません。
もちろん自社で移送しようと、前述したようにリース契約を締結している会社へ事前の連絡を行います。
契約内容にもよりますが、移転の1ヵ月前が無難です。
設備・備品の運搬費用
自社の書類やパソコン等、荷物の運搬作業を業者に依頼する際、費用の相場は従業員1人あたり約3万円と言われています。
例えば役員・従業員含めて20人なら、60万円以上はかかるとみて良いでしょう。
もちろん、社員数が多いと更に費用はかかるため、注意しましょう。
また、自社の所有する貴重品、美術品、重量物、機密文書のような特殊な物を運搬するときは、別途費用が必要です。
オフィス移転で生じる問題と注意点
こちらでは、オフィス移転で生じる問題・注意点を3つ取り上げましょう。
- 移転先によっては電話番号などが変わらないか
- 取引先との連絡手段
- 顧客や取引先への案内のタイミング
移転先によっては電話番号などが変わらないか
たとえ同一市区町村内で自社のオフィス移転しても、同じ電話番号が使えない場合もあり得ます。
取引先に電話番号の変更が伝わってないと、取引に支障が出る他、信頼関係にも傷がつきます。
移転前に利用中の電話回線のキャリアへ、電話番号の変更に関して問い合わせる必要があります。
電話番号が変更になる場合、少なくとも1ヶ月前くらいには、取引先への報告はもちろん、自社ホームページ・役員・従業員名刺、チラシといった様々なツールで、電話番号の記載を変更したいものです。
取引先との連絡手段
自社で法人向け携帯を用意しているなら、仮に固定電話番号が変更になり使えなくなっても、取引先とのやり取りは可能でしょう。
ただし、メールやチャットも活用し、取引先との連絡調整に『穴』ができないよう配慮します。
とはいえ、取引先に余裕を持った変更の案内を行えば、取引先との連絡調整がとれないと言った事態は避けられるはずです。
顧客や取引先へ、ベストな案内のタイミングについては次項で説明します。
顧客や取引先への案内のタイミング
移転の案内をする際、「今の住所は〇月〇日まで有効で、〇月〇日から新しいオフィスの住所が有効」と、必ずわかりやすいように明記します。
そうすれば、取引先が間違って旧住所に物品等を配送するというトラブルは起きないはずです。
移転の1ヵ月前の案内なら無難ですが、どんなに遅くても移転の2週間前まで取引先へ案内が届くよう手配します。
印刷業者への発注~完成までの時間も十分考慮するならば、オフィスを移転する2~3ヵ月前には準備を始めた方が良いでしょう。
オフィス移転を手助けするサービス
こちらでは、オフィス移転を手助けするサービスについて解説します。
オフィス移転を専門に扱う業者もある
業務が忙しく、オフィス移転の作業まで手が回らないケースも考えられます。
その場合は、オフィス移転を専門に扱う業者へ依頼した方が良いでしょう。
各種工事、新オフィスへの引越し作業までまとめて対応できるサービス業者も存在します。
ご自身の会社は、様々な業者との打ち合わせから解放され、大幅に負担が軽減されることでしょう。
レイアウト設計もお任せ
オフィス移転サービス業者の中には、面倒な手続きや引っ越し作業を行う他、実績を重ねてきた専門スタッフが、移転計画はもちろん新オフィス・フロアのレイアウト変更までサポートしてくれます。
自社で集めたレイアウトの希望を伝えれば、理想のレイアウト図を作成してくれることでしょう。
引っ越し作業はもちろん、各手続き代行、レイアウト作成まで一貫して依頼すれば、費用も安上がりになるはずです。
オフィス移転のまとめ
オフィス移転はやはり事前の準備が何より大切になります。
オフィス移転が初めてという会社なら、無理にご自身で計画を立てるより、オフィス移転を専門に扱う業者へ相談した方が無難かもしれません。
業績が良くなったり、業務環境の変化などで、オフィス移転を考えているという方もいらっしゃると思いますが、オフィス移転は非常に手続きなどが煩雑です。
何も決めずにオフィス移転は出来ませんので、まずはオフィス移転に際して様々な事を調べるところから始めましょう。
社内への連絡・社外への連絡・各種手続きなど、思った以上に大変な作業となりますので、抜かりなく作業を進めるためにも事前準備をしっかりとしましょう。