家、つまり不動産を売るというのは多くの人にとって未経験のことですよね。
この記事では不動産を売るときの流れと、その中で抑えておいた方が良いポイントを解説します。
5分でサラッと読める内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
家を売る意志の固めかた
相場のカンタンな計算法
不動産会社に行く前の資料の準備
不動産会社の決め方
媒介(ばいかい)契約の種類
売買契約のときに注意するポイント
売買にかかる経費
いくらで売れそうか? 相場を知る
「さあ家を売るぞ! 不動産屋へ行こう!」
多くの人が考える第一歩ですよね。
急がば回れ、ともいいます。不動産会社に向かうその前に、ぜひやってほしいことがあります。
自分の意志を確認することからスタート
はじめに心の準備をしましょう。
まずはメモ用紙に家を売る理由と、希望する売却価格を書いてみてください。
何も調査せず、今の感覚で、希望価格を書くのです。
家を売る理由を書くのは、あなたの意志が固まっていることを確認するためです。
意志があやふやな状態で行動を開始すると、今後の行動が徒労に終わってしまうかもしれません。
メモ用紙に書かれた理由を読んで、何かを改善すれば家を手放さずに済む、そんな可能性に気づくこともあるからです。
意志の固さを確認できたら、次は希望価格が高いのか安いのかを調べます。
相場チェック
家を売るときの価格は、敷地の価格と、家自体の価格とを合算したものです。
相場に基づいた価格を実勢価格といいますが、建物の実勢価格を計算するのは至難の技です。
以後、不動産会社で実勢価格について説明を受けることになりますので、事前準備としては、おおよその価格を知れば十分です。
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土地の価格は、国土交通省の「土地情報システム」を使って調べられます。
実際に取引された価格は、「不動産取引価格情報検索」を、標準地や基準地の地価は、「地価公示 都道府県地価調査」を使ってください。
土地の平米(㎡)単価が分かるので、あなたの土地の面積をかけて、土地の価格を算出します。
次に、家の価格ですが、簡易計算でおおよその金額を把握します。
「固定資産税納税通知書」を準備してください。市区町村役場から年に1回郵送される書類です。
そして、売る予定の建物に設定されている「課税標準額」を確認してください。
一般的に、課税標準額は実勢価格の7割程度と言われていますので、次の計算で建物の価格を算定します。
なお、この簡易計算は土地の価格を算定する場合にも使えます。
土地の課税標準額を0.7で割る方法です。国交省HP等での調査が大変だと感じる場合にはこちらの方法でも良いでしょう。
さて、計算した土地の価格と建物の価格の合計額が、おおよその実勢価格になります。
最初に書いたメモの希望価格に並べて、この実勢価格も書き加えておいてください。
あなたの希望と買う人の希望
メモの希望金額と実勢価格にそれほど差がない場合は問題ありません。多くの場合は差が生じますので、その差の捉え方が大切になります。
メモの金額は言うまでもなく、あなたの希望を反映した、売りたい価格です。
一方で、実勢価格は、実際に取引されている価格ですから、買う人が妥当だと納得できる価格です。言い換えれば、売りやすい価格、ということになります。
あなたがこれから不動産会社でどちらの価格を提示するかは自由です。
売りたい価格と売りやすい価格、という2つのバランスをどう取るのか、そこがポイントになるということを頭の片隅においておくと、この先の判断の助けになります。
資料を揃える
また、不動産会社で話を進めるときに、資料があると話がスムーズに進みます。
まずは、先にも登場した「固定資産税納税通知書」を準備しましょう。納税通知書には、あなたが所有する土地と建物の面積などが一覧で記載されています。
次に、地籍図と登記簿を取得します。
地籍図は周辺土地も含め、土地の形状が分かる資料です。
市区町村役場の固定資産税を担当する部署で発行してもらえます。手数料は自治体によって異なりますが、数百円です。
登記簿は不動産を管轄する法務局で発行してもらえます。
管轄する法務局は、法務局HP内の「管轄のご案内」で確認できます。
登記簿には「登記事項証明書」(手数料600円)と「登記事項要約書」(手数料450円)がありますが、「登記事項要約書」で大丈夫です。
土地と建物、それぞれについて登記事項要約書を取得してください。
登記事項要約書には、土地の面積や地目、建物の床面積や構造、所有者の情報や住宅ローンがある場合には抵当権の設定などが記載されています。
納税通知書、地籍図、登記事項要約書の他に、家の間取り図もあると良いです。
建築時の図面があれば一番良いのですが、ない場合には手書きでも構いません。
以上が用意できたら、最後に家の外観を撮影しましょう。
建物の状態が分かる画像、庭の状態が分かる画像、さらに前面道路の状態が分かる画像があるとなお良いです。
撮影は、スマホで十分です。
不動産会社へ
相場を調べて、資料もばっちり準備できました。価格設定のためのポイントもおさえてあります。
さあ不動産会社に向かいましょう! でも、どの不動産会社にしたらいいのか迷いますよね。
そこで不動産会社への最初の1歩を、ためらわずに踏み出すための方法と、不動産会社を選びやすくするためにどう行動すればいいのかを紹介します。
また、不動産会社とあなたが結ぶ、媒介契約についても解説します。
その地域の不動産会社を3社訪問
まずはあなたの物件から一番近い不動産会社を訪問してください。
あなたの家がある地域の不動産情報について一番詳しいのは、一番近い不動産会社である可能性が高いからです。
売却の意志を伝え、資料や画像を見せてください。あと、最初に書いたメモの内容も忘れずに伝えてください。
売る決断をした理由と、希望価格、実勢価格のメモです。
最近の売買の動向や適正価格のアドバイスなど、様々な情報を得られることでしょう。
ある程度その不動産会社の雰囲気を掴んだところで、また近日中に訪問する旨を伝え、その会社をあとにしてください。
そのあとは、2番目に近い会社へ、3番目に近い会社へと、あと2社同じように訪問してください。
3社の訪問を終えたら、情報量、経験の多さ、話しやすさ、誠実さ、あなたが感じたすべてを勘案して、どの1社をメインにするかを決めます。
不動産会社との媒介契約には3種類ある
メインの1社を決めたら、その不動産会社に売却を依頼してください。通常この時に売価の設定も行います。
またここで、不動産会社から媒介(ばいかい)契約を締結するようお願いされる場合があります。
媒介契約は、あなたは売買の仲介を不動産会社にお願いし、不動産会社は売買の仲介をあなたからお願いされた、という内容を、仲介料などを明記して書面に残す契約です。
この媒介契約ですが、3種類あります。
この3種類ですが、一番強力な契約が専属専任媒介契約、一番弱い契約が一般媒介契約だということを知っておいてください。
詳細は省きますが、この1社にすべてを任せる、というのであれば専属専任媒介契約を、複数の会社に声をかけて間口を広くしたい、というのであれば一般媒介契約を選ぶべきでしょう。
それぞれの媒介契約の違いについて、不動産会社から説明を受け、希望に沿った媒介契約を結ぶようにしてください。
先に「メインの1社」という表現をしましたが、一般媒介契約であれば2社目とも、3社目とも媒介契約ができる、というわけです。
待機
媒介契約を結んだら、買い主がみつかったとの報告があるまで、待つことになります。
不動産会社は販売活動の報告を、専属専任媒介契約なら7日に1回、専任媒介契約なら14日に1回するよう、法で定められています。一般媒介契約については、報告義務はありません。
いよいよ売却、その後の経費も忘れずに
努力が報われ、やっと買い手がみつかりました。
あとは売買契約をして、入金されたらおしまい!
そんなことはありません。売買契約のときにも、家を引き渡したあとにも、気をつけてほしいポイントがあります。最後まで気を引き締めていきましょう!
売買契約
不動産会社から買い主が見つかったとの連絡があると、金額面などの条件を調整したうえで、いよいよ売買契約を締結することになります。
ここで売買契約書と一緒に重要事項説明書という書類が作成されます。
買い主に物件の詳細情報や金額などを含めた売買の条件を確認してもらい、物件の不具合や欠陥などにも同意した上で売買契約をしてもらうための書類です。
重要事項説明書は不動産会社が作成しますが、買い主にも聞き取り調査などをおこなって作成される書類ですので、不都合な情報であっても誠実に情報提供し、あとでトラブルにならないようにすることも重要です。
決済・引き渡し
売買契約書に定めた期日に、決済と引き渡しが同時に行われます。
決済は売買代金を買い主から売り主に支払うことです。
引き渡しは、所有権移転登記や抵当権抹消登記を行うことです。
通常は、買い主から売り主への入金が確認でき次第、同席の司法書士が必要書類を持参して法務局へ向かい、権利関係の登記を行う、という流れになります。
この手続きを終えた時点で、売り主の不動産は買い主の所有となり、売買は終了します。
契約時の経費と、その後の経費
最後に、ここまでの流れの中で、様々な経費がかかることも覚えておきましょう。
次に代表的なものを挙げます。
また、売買の譲渡所得に対しては所得税がかかります。
あらかじめ不動産会社や税理士に試算してもらい、これらの経費を無理なく支払えるように、計画的に準備しておきましょう。