初めて不動産売却をする方にとって、不動産売却にかかる税金って分からないことが多いですよね。
目次
不動産売却にかかる税金一覧
不動産売却での税金は、主に5つあります。
この5つの税金は、必ずかかる税金と、場合によっては発生しない税金に分かれます。
「過怠税」という印紙税を間違った方法で納めた場合に発生する無駄な税金もありますが、後ほどご説明します。
それでは、不動産売却にかかる税金について説明していきます。
不動産売却で必ずかかる税金
不動産売却で必ずかかる税金は、以下の2つです。
- 印紙税
- 登録免許税
税金①印紙税【節税対策あり】
契約金額 | 本則税率 |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1千円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
出典:国税庁公式サイト
軽減額とは?
下記のような契約書には、軽減措置が適用されています。
契約金額が10万円を超え、平成26年4月1日から令和2年(2020年)3月31日までに作成される契約書
契約金額 | 本則税率 | 軽減額 | 軽減後の税率 |
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 4万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 4万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 8万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 12万円 | 48万円 |
出典:国税庁公式サイト
また、売買金額の変更時に作成される「変更契約書」にかかる印紙税も同様に、軽減措置が適用されます。
【節税対策】印紙税では「過怠税」に注意
印紙税は、間違った方法で納めた場合「過怠税」がかかります。
もし間違った方法で印紙税を納めてしまった際、どのような対処法があるのかご紹介します。
印紙を貼り忘れる
税務調査で印紙の貼り忘れを指摘をされ、そのタイミングで納める場合、本来の3倍の印紙税額を過怠税として支払います。
ただし、調査前に印紙の貼り忘れに気付き自己申告すれば、1.1倍で済みます。
印紙額を多く貼る
軽減措置を知らずに印紙額を多く貼ってしまった場合、契約書の原本を確認してもらえば、印紙税を返してもらうことが可能です。
契約金額が大きな場合は、納めた印紙額も高額なので、面倒と思わずに対処すると良いでしょう。
消印を忘れる
印紙を貼ったが、割り印などで消さなかった(使用済みにしなかった)場合には、本来の印紙税額の2倍もの過怠税がかかります。
税金②登録免許税
登録免許税は、登記の種類によって以下のように税率が変わります。
登記の種類 | 登録免許税の税率(本則) |
---|---|
所有権移転登記(土地) | 評価額×2.0% |
住宅用家屋所有権保存登記(新築建物) | 評価額×0.4% |
住宅用家屋所有権移転登記(中古建物) | 評価額×2.0% |
抵当権設定登記(住宅ローン借り入れ) | 借入額(債権額)×0.4% |
不動産売却の場合によっては発生しない税金
場合によっては発生しない税金はこの3つです。
- 譲渡所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
税金③譲渡所得税
譲渡所得税は以下の式で計算します。
譲渡所得税=課税譲渡所得金額 × 税率
この式を計算するために、「課税譲渡所得金額」と「税率」を以下にそれぞれ説明していきます。
「課税譲渡所得金額」の計算方法
「課税譲渡所得金額」の計算方法は以下の通りです。
課税譲渡所得金額=
売却額-(取得費+譲渡費用)
売却額 | 不動産売却時の価格。 |
取得費 | 不動産を購入した時の価格と費用の合計。ただし、減価償却後の価額。 |
譲渡費用 | 不動産売却時にかかった費用。 |
取得費について
取得費=
「不動産購入時の費用」ー「減価償却費」
「不動産購入時の費用」は、下記などの合計です。
-
- 家・土地の購入費、建築費
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 各種税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税など)
- 設備費、改良費
- 造成費用
- 解体費、測量費
「減価償却費」は、「建物購入代金×0.9×償却率×経過年数」で計算します。
譲渡費用について
譲渡時に直接負担した諸費用で、主に以下の費用です。
-
- 仲介手数料
- 印紙税
- 立退料
- 取壊し費用
- 違約金
- 名義書換料
「税率」の計算方法
「税率」は下記の表の通りです。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間5年以下) |
30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得 (所有期間5年以下) |
15% | 5% | 20% |
税金④住民税
課税譲渡所得金額がプラスになる場合に、住民税と所得税・復興特別所得税が発生します。
所得税と住民税の税率については、不動産の所有期間によって変化します。下記の基準で判断します。
建物や土地を売却した年の1月1日現在において、その建物や土地の所有期間が5年を超えるかどうか
所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
所有期間が5年以下 | 30% | 9% | 39% |
所有期間が5年超え | 15% | 5% | 20% |
所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」と呼びます。
税金⑤復興特別所得税
不動産売却の確定申告
不動産売却時の確定申告の大まかな流れは下記になります。
- 書類の準備
- 譲渡所得税の計算
- 書類の記入
- 書類の提出
- 納税
ただし、確定申告は必要な人と不要な人に別れるので、あなたがどちらに当てはまるのかしっかり確認しておきましょう。
確定申告が必要な人
課税譲渡所得= 売却額-(取得費+譲渡費用)
この計算が黒字(プラス)になった場合、譲渡所得税を納めなければならず、確定申告が必要になります。
確定申告が不要な人
課税譲渡所得= 売却額-(取得費+譲渡費用) この計算が赤字(マイナス)になった場合、確定申告は不要になります。 例えば、他の所得がある場合は、損益通算することでトータルの課税額を減額できる可能性があります。 損益通算; つまり、確定申告すると節税できる場合もあるため、基本的には確定申告することをおすすめします。 不動産売却時に控除・特例を利用することで、税金対策が可能です。 控除・特例によっては、課税対象から外れ税金がゼロになる可能性があります。 居住用不動産(マイホーム)売却の控除・特例は、下記の3つです。 居住用不動産(マイホーム)を売却した場合、譲渡所得から3,000万円が控除できる可能性があります。 「買い換え特例」とは、保有期間が10年以上の居住用不動産に適用される特例です。 この特例を受けるには、以下の条件があります。 買い換え対象となる不動産が、売却する不動産の売却価格より高い場合のみ 「10年超所有軽減税率の特例」といい、条件を満たせば適用される可能性があります。 家といった建物に限らず、土地などにも適用されます。10年以上所有していれば税率が軽減されます。 3,000万円の特別控除と併用することが可能なため、売却益が3,000万円超えしてしまっている方にもおすすめです。3,000万円超の部分で、税金が安くなります。 「10年超所有軽減税率の特例」を利用した場合としない場合の、合計税率を以下に比べてみます。 以下のような家を、不動産売却シミュレーションしてみましょう。 (3,000万円-2,500万円-200万円-3,000万円)はマイナスとなります。 そのため、譲渡所得税・住民税(復興特別所得税含む)は0円です。 土地売却の特別控除は、下記の4つです。 800万円の特別控除は、土地(農地)を農地保有の合理化などのために、認定農業者などに売却する場合が対象です。 1,000万円の特別控除は、平成21年または平成22年に取得した土地を売却する場合が対象です。 1,500万円の特別控除は、特定住宅地造成事業のための土地売却の場合が対象です。 5,000万円の特別控除は、国が決めた公共事業などのために土地・建物を売却する場合が対象です。 以下のような土地を不動産売却シミュレーションしてみます。 (3,000万円-2,500万円-200万円)×39.63%=約119万円 譲渡所得税・住民税(復興特別所得税含む)は、119万円程度です。 不動産売却をする際に、知っておきたい節税のポイントをご紹介します。 特別控除・特例を知っている場合と知らない場合では、節税できる金額は大きく変化します。 もし特別控除・特例の条件を満たす場合、しっかりと活用するのが良いでしょう。 不動産売却で扱った書類を保管しておくことで、かかった費用を経費として計上することができます。 経費として計上した場合、かなりの節税が可能なので、相続で不動産を受け継いだ場合などを除き、契約書・領収書の保管には注意を払っておきましょう。 不動産売却にかかる税金について、おわかり頂けたでしょうか? 不動産売却時は、購入時と同様に、様々な税金がかかってきます。事前準備のポイントを下記にまとめました。【節税】不動産タイプ別!税金の控除・特例
居住用不動産(マイホーム)売却の控除・特例
1.3,000万円特例
2.買い替え特例
3.「所有期間が10年越えの居住用不動産」を売却したときの軽減税率特例
10年超所有軽減税率の特例
売却益
所得税
住民税
合計税率
3,000万円以上6,000万円以下
10%
4%
14%
3,000万円以上6,000万円超え
15%
5%
20%
もともとの税率
所有期間
所得税
住民税
合計税率
短期譲渡所得
(所有期間5年以下)30%
9%
39%
長期譲渡所得
(所有期間5年以上)15%
5%
20%
不動産売却のシミュレーション(家)
土地売却の控除・特例
1.800万円の特別控除
2.1,000万円の特別控除
3.1,500万円の特別控除
4.5,000万円の特別控除
不動産売却のシミュレーション(土地)
【節税】不動産売却の税金対策のポイント
控除・特例を活用する
書類の保管
まとめ