”不動産を売ること”は人生で中々ないので、不動産売却は多くの方が初めての経験だと思います。
そこで今回は、不動産売却初心者の方にも分かりやすいように、売却の手続きの流れと必要書類を解説します。
不動産売却は知識が無いと、もっと高く売れるはずだった不動産を、安い金額で売ることになってしまうかもしれません。
この記事を読んで基礎知識をつけ、不動産がより高く売れるようにしましょう!
目次
不動産売却の手続きは5ステップ!必要書類は?
不動産売却の手続きの流れは、大きく分けて以下の5ステップになります。
- 相場を知る
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 買主と売買契約を結ぶ
- 決済・引渡し
そこでまず、不動産売却の手続きの基本を抑えるためにも、各手続きごとに必要な書類を見ていきましょう。
Step⒈ 不動産の相場を知る
最初に行うべきなのが「自分が売りたい不動産が、世間では大体いくらくらいで売れているのか」といった『市場価格』を把握することです。
不動産が実際に売りにかかっている時の『売り出し価格』や売主と買主の取引が成立した際の『成約価格』は、不動産の
- 場所
- 広さ
- 利便性
- 築年数
- 現在の状況
など様々な事柄によって決まります。
売主が自分の不動産を、

ポイント
不動産タイプ別!おすすめの相場の調べ方
不動産の市場価格を知るには、インターネットを利用しましょう。
戸建てやマンションを売却するなら、「レインズマーケットインフォメーション」がおすすめです。
「レインズマーケットインフォメーション」なら、過去一年間分の各不動産の『成約価格』のデータを見ることが出来ます。
不動産の種類だけでなく、間取りや築年数など多くの条件も閲覧が可能なので、自分と似たような不動産の価格変動をチェックしましょう。
また近年では、地域ごとの不動産の相場価格などを公開している不動産一括査定サイトもあります。
例えばマンション売却なら、マンションの売買に特化した「イエシル(IESHIL)」などがおすすめです。
土地の売却に関しては、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」にて、エリアごとのこれまでの取引データを閲覧できます。
Step⒉ 不動産会社に査定を依頼する
自分が売りたい不動産のある程度の相場が掴めたら、次はプロである不動産会社の方に、不動産の査定をしてもらいましょう。
ポイント
不動産一括査定サイトなら、ネットさえあれば家にいながらでも、複数の不動産会社に査定を依頼できます。
同時に査定を依頼できる不動産会社数はサイトによって異なってきますが、平均して最大6社程度です。
不動産一括査定サイトは、
- 同時に査定を依頼できる会社数は少ないけど、大手不動産会社と提携しているサイト
- 提携不動産会社数が多く、全国各地の不動産に対応するサイト
- 首都圏のマンションのみ取り扱うサイト
- 地域密着型の不動産会社と多く提携しているサイト
など、サイトによってそれぞれ特徴があります。
一括査定サイトを利用する際の必要書類は?
不動産一括査定サイトを利用する際は、特に提出すべき必要な書類はありません。
しかし、主に以下のような不動産情報の入力が必要となります。
- 住所
- 面積
- 築年数
- 空室などの状況
- 不動産の名義
- 査定依頼者情報(名前や連絡先など)
Step2.5. 売り出し価格の決定
一括査定サイトを利用して複数の不動産会社に査定をしてもらったら、次に売り出し価格を決めましょう。
査定結果を確認してみると、高い査定金額を提示したり、逆に予想を下回る金額を提示する会社など、不動産会社によって差があるのも珍しくはありません。
相場より高い査定結果に注意!
そのため、不動産一括査定サイトなどを利用して、複数の不動産会社から査定してもらうことが重要です。
自分で調べた市場価格と複数の査定結果を照らし合わせながら、売り出し価格を決めましょう。
中古物件を売却する場合は値引き前提で!
売り出し価格を決め、その価格で売却活動をスタートしたとしても、買主から値引き交渉されることがあります。
ポイント
中古物件以外の不動産も、最初は少し高めに価格を設定し、
などと計画を立てておくと、売却活動がスムーズに進みますよ。
Step⒊ 不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果を確認し、
と決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。
ポイント
不動産を効率よく売却するためには、不動産会社に買主との仲介を依頼するのが一般的です。
不動産会社は査定から売却活動・内覧・売買契約の手続きなど、不動産売却全体のサポートを担う重要な役割を果たしてくれます。
この際、複数の不動産会社に仲介を依頼できるか否かは、不動産会社と売主が結ぶ契約の種類によって異なってきます。
専任媒介契約
ほぼ同上。しかし、知人などと不動産会社を通さないで、直接取引をすることが可能になる契約。
一般媒介契約
複数の不動産会社に、同時に仲介を依頼できる契約。知人などと、不動産会社を通さないで直接取引をすることも可能。
不動産会社と媒介契約を結ぶ際の必要書類は?
不動産会社と媒介契約を結ぶ際の必要書類は、売却したい不動産の種類によって異なってきます。
そこで、マンション・戸建て・土地を売却する場合の必要書類を、以下の表にまとめてみました。
必要書類 | マンション | 一戸建て | 土地 |
---|---|---|---|
身分証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
実印・印鑑証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
住民票 | ◯ | ◯ | ◯ |
登記簿謄本 | ○ | ○ | ○ |
売買契約書 | △ | △ | △ |
重要事項説明書 | △ | △ | △ |
土地測量図 | × | △ | △ |
固定資産税納税通知書 | ○ | ○ | ○ |
建築確認済証 | × | ◯ | × |
マンションの管理規約 | △ | × | × |
耐震診断報告書 | △ | △ | △ |
◯=必ず必要
△=あった方がいい
×=必要なし
登記簿謄本
登記簿謄本(とうきぼとうほん)とは
登記簿謄本は、管轄の法務局で600円程度で取得できます。
取得の際には、住所とは異なる地番・家屋番号の記入が必要です。
不明の場合、法務局に備え付けられているブルーマップか窓口で確認してください。
売買契約書
売買契約書とは
万が一売買契約書を紛失した場合、不動産を購入した際に利用した不動産会社に問い合わせをしてみましょう。
売買契約書は、買主用と不動産会社用で必ず2部用意するので、不動産会社が確実に持っています。
重要事項説明書
重要事項説明書とは
必ずしも必要な書類ではありませんが、手元にあるのであれば大切に保管しておきましょう。
土地測量図
土地測量図とは
必須ではないですが、買主や不動産会社から提出を要求される場合が多いので用意しておくべきでしょう。
固定資産税納税通知書
固定資産税納税通知書とは
また、移転登記等に必要な登録免許税の算出の際にも必要となります。最新のものを準備しましょう。
建築確認済証
建築確認済証とは
Step3.5. 売却活動の流れと注意点
不動産会社と媒介契約を結んだら、遂に売却活動にうつります。売却活動の主な流れは、以下の通りです。
- ネットなどに広告を掲載し、購入検討者を探す(見つからなかったら価格を見直す)
- 内覧
- 購入希望者と交渉
- 売買契約を結ぶ
まず売却活動の主となる集客は、
- インターネットに広告を掲載
- 新聞に折り込みチラシを入れる
- 売却する不動産の近隣住宅にチラシを配布
などします。
そして、もし仲介役となる不動産会社が買主を見つけられれば、不動産会社は売主・買主双方から仲介手数料を得ることになります。
仲介手数料目当ての「囲い込み」に注意!
不動産会社側からすれば、仲介手数料は売主からだけでなく双方から貰いたいですよね。
しかし、不動産会社は媒介契約を結んだ際「レインズ」という不動産流通機構が運営するサイトに、売り出す不動産の情報を掲載するよう義務付けられています。
レインズを閲覧できるのは、会員である不動産会社のみです。
そのため、本来は仲介手数料を貰うために自分で買主も見つけたいところですが、他社のお客さんの中から購入希望者が出てきたら、そちらも対応しなければなりません。
仲介手数料目当てに、他社からの購入希望者に対して「この物件は既に契約交渉中です」などと嘘をつくことは禁止されています。
万が一、集客活動をいくらしても購入希望者が現れない場合は、不動産会社が囲い込みをしている可能性があります。
囲い込みをされないために
売却活動中は全て不動産会社に任せっきりにするのではなく、担当者に逐一進歩状況を確認するようにしましょう。
また、レインズに不動産情報を登録したら「登録証明書」が得られます。
その「登録証明書」に記載されているURLにアクセスすると、自身の不動産の取引状況(公開中・停止中・申し込みありなど)が確認できますので、そちらで囲い込みされていないかどうかをチェックしましょう。
Step⒋ 売買契約の締結
売却活動の末、買主が決まったら仲介役である不動産会社を通して売買契約を交わします。
その前に、買主に対しては不動産会社から重要事項説明がされるでしょう。
説明が終わったら、不動産会社が作成した売買契約書をもとに、契約内容を一つ一つお互い確認しながら進めていきます。
不動産会社から双方への説明が済んだら、売買契約書に従って手付金を現金で買主から受け取ることになります。
手付金はおおよそ、売却金額の5%〜20%が相場とされています。
手付金の受け渡しが完了したら、次に具体的な不動産決済日と引渡し日を買主と取り決めます。
ここで取り決めた日時は原則変更不可になるので、よく買主と話し合い、双方の合意のもとで日程を調整しましょう。
Step⒌ 決済・引き渡し
決済と引き渡しの手続きは、一般的に売買契約を締結してから1ヶ月以内に行われます。
決済の方法は、銀行振込または現金手渡しの2通りありますが、多額の金額が動くので銀行振込のほうが無難といえます。
売主と買主が事前に指定した金融機関のブースに売主と買主、それに加え司法書士や不動産会社の担当者が立ち会って手続きを進めます。
決済日の詳しい流れは下記を参考にしてみて下さい。
- 事前に指定した銀行の契約室に集合
- 本人確認や登記に必要な書類が揃っているかを確認
- 住宅ローンの担当者へ融資の実行を指示
- 決済金の支払い
- 仲介手数料の支払い
- 鍵や重要事項説明書などの引渡し
- 融資の実行完了、領収書の受け渡し
- 解散
売買決済時に必要な書類は?
不動産の売買決済時に必要な書類は、以下の通りになります。
必要書類 | 内容 |
本人確認書類 | 司法書士用 |
印鑑証明 | 3ヶ月以内に発行したもの(司法書士用) |
実印 | 実印登録しているもの(司法書士) |
登記識別情報 | 自分で保管しているもの(司法書士用) |
住民票 | 登記名義人変更登記が必要な場合のみ |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税評価証明書でも可(当該年のもの) |
物件の鍵 | 買主用 |
管理規約・パンフレット
・建築確認通知書など |
買主用 |
抵当権抹消書類 | 金融機関に持参させる |
必要書類に一つでも抜けがあると手続きができません!当日までに漏れがないか、入念に確認しましょう。
また「決済・引渡」で発生する主な費用は、以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
抵当権抹消費用 | 司法書士費用はエリアや物件の状況によって変わりますが、所有権移転登記であれば5万円程度が目安となります。 |
司法書士手数料 | 1物件1,000円 |
仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円が一般的です。 |
不動産売却の手続きをスムーズに進めるコツは?
不動産売却の手続きを円滑に進めるためのコツは、売買契約〜引渡し・決済までの過程で関わる不動産会社や金融機関・司法書士などと、事前に入念に打ち合わせを行うことです。
また、引渡しまでに物件の残置物や欠陥がないかに注意してください。
ポイント
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、不動産売却の手続きの流れとその際に必要な書類について紹介しました。
事前に大まかな流れと用意しなければならない書類を確認しておくだけで、初めて不動産を売却する人もゆとりを持って売却活動が行えます。