不動産の売却時にかかる「仲介手数料」。
仲介手数料は不動産売却費用の中でも最も高い費用となりますが、実はこの手数料を安く抑える方法があるんです。
今回は不動産売却にかかる費用について詳しく説明するとともに、仲介手数料を安くする方法などもご紹介していきます。
- 不動産売却にかかる仲介手数料とは?
- 不動産売却にかかる8つの費用の相場
- 仲介手数料を安く抑える方法
不動産売却にかかる仲介手数料とは?
マンションや戸建・土地などの不動産を売却するとき、多くの人が不動産会社に売却の仲介を依頼します。
そして無事買主が見つかり売買契約が交わされたら、売主は「成功報酬」として不動産会社に仲介手数料を払わなければなりません。
簡単に言うと…
また仲介手数料は売買のみではなく、賃貸の場合でも発生します。
仲介手数料以外にも!不動産売却にかかる費用
しかし売主が不動産会社に支払いする「仲介手数料」とは、あくまでも
「通常の仲介業務で発生する費用」
のこと。
ですが不動産を売却するとなると、営業マンの方に郊外に住む購入検討者に交渉に行ってもらうことになるかもしれませんし、大きな家具を捨てることや、売却のためにクリーニングが必要になるかもしれません。
その際にかかる交通費・廃棄費・クリーニング代などは別途の費用になるため、意外と不動産売却時にはある程度まとまった資金が必要になるんですね。
- 仲介手数料
- 抵当権抹消登記費用
- ローンの返済と返済に伴う手数料
- 印紙税
- 不動産譲渡所得税
- リフォーム費用
- 土地境界確定測量費用
- 引っ越し費用
では、それぞれの費用が「いくらかかるのか・いつ支払うのか」計算式などと一緒に、費用の相場をこれから説明していきます。
1仲介手数料
仲介手数料とは、先ほども説明したように不動産会社へ支払う費用となります。
売主・買主・賃貸人・賃借人
いつ支払うの?
売買契約を交わす時と、不動産の引渡し時に半分ずつ払うのが一般的
不動産売却時の仲介手数料の計算式
仲介手数料がいくらになるかは、物件の売却価格によって違います。
ですが仲介手数料の上限額は法律によって定められており、それぞれの売却価格に対する上限額は以下の通りです。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 売却価格の5%以内+消費税 |
200万円超から400万円以下 | 売却価格の4%以内+消費税 |
400万円超 | 売却価格の3%以内+消費税 |
こう見ると簡単に思えますが、400万円を超える物件を取引した場合、計算方法が少しややこしくなります。
例えば1,000万円の物件の仲介手数料の計算は、
- 200万円以下の部分
- 200万円超から400万円以下の部分
- 400万円超の部分
に分けて計算しなければなりません。
売却額 | 仲介手数料 | |
200万円以下 | 200万円 | 10万円 |
200万円超から400万円以下 | 200万円 | 8万円 |
400万円超 | 600万円 | 18万円 |
合計 | 1,000万円 | 36万円 |
計算してみると1,000万円の物件には最大で36万円の仲介手数料がかかることが判明しました。
仲介手数料を簡単に計算する方法
上記の例で1,000万円の物件の仲介手数料を計算すると「1,000万円×3%+6万円+消費税=36万円」となります。
また、200万円から400万円の簡易的な計算方法は以下の通りです。
計算ツールで簡単シュミレーション!
しかしどうしても計算が苦手な方は、簡単に仲介手数料をシュミレーションできる計算ツールを活用してみましょう!
2抵当権抹消登記費用
抵当権とは、物件のローンを返済できなくなった時、ローンを貸し出した金融機関側がその物件を差し押さえることができる権利。
ローンを組んでいる方は、基本的にこの抵当権が設定されています。
しかし売却時には、売主は該当する不動産の抵当権を解除(抹消)し、所有権を買主に登録し直さなければなりません。
支払う義務がある人は?
不動産の売主
いつ支払うの?
ローン完済時or物件の所有者が変わるとき
なお、物件の所有権を買主に移転する際に発生する「所有権移転登記費用」は、一般的に買主が負担します。
3ローンの返済と返済に伴う手数料
抵当権抹消登記費用の他にも、不動産をローンで買った方は「ローンの返済」と「返済に伴った事務手数料」がかかります。
多くの人が不動産をローンを組んで買うように、不動産を売る際も、ローンの残り(残責)を売却金から一括で返済します。
ローンを一括で返済する際は事務手数料が発生し、大体の相場は3〜5,000円ほどです。
注意
4印紙税
不動産を売却するとき、印紙税という税金も納めなければなりません。
印紙税の納め方は、基本手に「収入印紙」を郵便局や法務局などで購入し、定められた金額の印紙を不動産の売買契約書などに添付します。
印紙税とは
貼り付けた印紙を印鑑などで消印したら、税金を納めたことになります。
支払う義務がある人は?
物件の売主と買主が平等に負担する
いつ支払うの?
不動産売買契約を交わすとき
国や行政
いくら支払うの?
売却価格により異なる
印紙税はいくら?
現在印紙税は、国税庁より軽減措置がおかれています。印紙税の軽減率は、以下の通りです。
例を上げるとすれば、売却価格が「100万円以上500万円以下」なら、印紙税は1,000円。
印紙税は2通分が必要となりますが、それぞれ1通ずつ買主・売主が負担するのが一般的です。
また仲介役である不動産会社と結ぶ媒介契約書には、印紙税はかかりません。
5不動産譲渡所得税
もし不動産が「買った時の価格より高く売れた」場合、売主に利益が出るのでその利益分、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、所得税と住民税に上乗せされて納税する形になるので、この2つを納税することで譲渡所得税も納めたことになります。
さらに平成23年からの25年間は、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために「復興特別所得税」も加わりました。
支払う義務がある人は?
売主(不動産売却で利益が出た場合のみ)
いつ支払うの?
翌年の3月15日までに確定申告を済ませる
いくら支払うの?
計算式は「譲渡所得税=譲渡価格-(取得費+売却費用)」
例えば2,000万円で購入した物件が2,500万円で売れた場合、500万円に一定の税率をかけた所得税を支払う義務があります。
注意!税率は不動産の所有年数で変動
譲渡所得は、売却不動産の取得費に、売却費用を加算した額を譲渡価格から引いた額です。
なお譲渡所得税の税率は、不動産の所有年数によって変わってきます。
不動産所有年数が5年以下 | 不動産所有年数が5年以上 | |
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 15% | 5% |
注意
3,000万円の特別控除が受けられる⁉︎
不動産譲渡所得税は、ケースによってはかなりの金額になることがあるので、様々な控除が設けられています。
中でも抑えておきたいのが、「3,000万円特別控除」です。
この特別控除が適用されるのは、譲渡される不動産が居住用である場合のみ。
譲渡所得から特別控除額を差し引いた額が、税金の対象となります。
2,000万円で購入した物件が5,000万円以上で売却できなければ、税金はかかってきません。
また、仮に2,000万円の物件が5,000万円以上で売却できた場合でも、税金がかかる部分は5,000万円を超えた部分だけ。
5,010万円だったら、10万円に対して税金がかかるというわけです。
6リフォーム費用
長く住んでいた物件を売却する場合、物件の状態によってはリフォームやクリーニングをする必要があります。
大きな家具類を捨てるだけでも、廃棄処分費としてお金はかかるもの。
処分費だけで相場は10~50万円と言われているので、リフォーム費用も侮れません。
また建物を解体するとなったら、一坪あたり大体3万円かかるので100〜300万円ほど、ハウスクリーニング費も5~15万円と見積もっておきましょう。
リフォーム費用の相場はいくら?
住宅リフォーム推進協議会によると、リフォーム費用の相場は、
- 戸建て→648.8万円
- マンション→504.3万円
ほどだそうです。
しかしハウスクリーニングなどは、不動産会社が仲介してくれた業者より、ネットでもっと安く頼める業者が見つかるケースもあります。
7土地境界確定測量費用
自分の土地と誰かの土地が隣同士にある場合、「ここからここまでが自分の土地」とはっきりさせるためにも、土地の境界を測量しなければなりません。
測量方法は、不動産売却の仲介役である不動産会社から、土地家屋調査士を紹介してもらうのが一般的。
土地境界確定測量費用としておおよそ、35〜45万円がかかります。
注意
しかし土地が広ければ広いほど、測量費用は高額に。
その他、複雑な形をした土地や近隣とのトラブルがあった土地を測量する場合も、費用がかさむ可能性が高いです。
8引っ越し費用
不動産を売却して新しい物件に移住する場合は、引っ越し費用のことも忘れてはいけません。
特に物件を売却してから新居に移るまでの期間中、違う場所に仮住まいする方は、
「売却する旧居→仮住まい宅→新居」
と引っ越し作業が2回行われることになるので、注意して下さい。
不動産売却費用で一番高い仲介手数料を安くする方法
不動産会社にとって仲介手数料は、一番大きな収入源。
そして売主にとっては、不動産売却費用の中で最もお金がかかる費用です。
買主が仲介を頼む不動産会社に値下げ交渉する
もし売主と買主の仲介役となる不動産会社が同じ会社だった場合、どうなるでしょう?
その不動産会社は、売主・買主どちらからとも仲介手数料が受け取れ、かなりの金額を受け取ることになりますよね。
このように高額の仲介手数料を受け取ることになった不動産会社は、片方からの仲介手数料を無料にしても利益は出るので、値引き交渉に応じてくれやすい傾向があります。
ポイント
「仲介手数料無料!半額!」と謳っている不動産も
不動産会社(または物件)の中には、
などと買主の仲介手数料の減額を謳っているケースもあります。
この理由は、早く買主を見つけて入居してもらいたいから。
例えば賃貸物件であるアパートに入居者が中々集まらなかったとき、アパートの所有者としては仲介手数料を抑えてでも早く借主を見つけて、入居してもらう方が好都合なのです。
ですが、仲介手数料が安くても満足のいく売却や買取ができなかったら本末転倒なので、「仲介手数料は安ければ安いほどいい訳ではない」ことを覚えておきましょう。
仲介手数料を安く抑えるために個人売買するのは危険
不動産の取引にはとても高額なお金が動きますので、素人同士が不動産取引を行えばトラブルになる確率が高いです。
不動産の売買には法律的な問題や金銭のやり取りなど、とても難しい契約や手続きがあります。
不動産のプロでない限り、うまくいく可能性は低いでしょう。
元不動産営業マンや法律の知識の十分な人なら安心ですがそうでない場合は、不動産会社に仲介を頼んで、仲介手数料を支払うのが賢い選択。
それから先述したように、仲介手数料の値引き交渉をして自分の有利な取引になるよう努力することが賢明です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
不動産売却時には仲介手数料だけでなく、納めなきゃいけない税金や様々な費用がかかることが分かりました。
中でも最も高くつく仲介手数料ですが、「買主と同じ不動産会社に仲介を依頼して値引き交渉する」など、安く抑える方法はある模様。
自分が納得のいく売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行って下さいね!