マンションの売却の際、様々な税金がかかってきます。
節税や税金還付ができる税制特例も設けられており、仕組みを知らないと損をすることもあります。
そこで、、本記事ではマンションの売却時にかかる税金の種類や計算方法、また税金の控除や特例について徹底解説していきます。
複雑な税金計算も一目で分かるよう、フローチャートを使ってシュミレーションしています。
また理解しづらい用語についても、不動産コンサルタント監修のもとでわかりやすく解説しています。
悩ましいマンションの税金問題をすぐに解決できるため、是非参考にしてみてください。
- マンション売却でかかる税金は6種類ある
- 6種類のうち、「所得税」「住民税」「復興特別税」は、マンションを売却した際の利益にかかる
- マンションの売却の際に生じた利益のことを譲渡所得という
- マンション売却にかかる税金には、「3000万円特別控除」や「住宅ローン控除」などの控除が利用可能(併用は不可)
- マンションを買い替える際は、「住宅ローン控除」か「買換え特例」を利用できる
- マンション売却で損をした場合は、「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が利用可能
- マンションの価格や、所有期間を考慮して、いちばん得をする控除や特例を選ぶ
- 税金の計算については、プロや不動産一括査定サイトを利用すると楽
東京大家表代表 大友哲哉-Tetsuya Ootomo-
東京大家塾合同会社(会員制不動産コンサルティング会社)代表兼一般財団法人日本不動産コミュニティー(資格認定団体)理事。明海大学不動産学部卒業後、東証一部上場不動産会社に入社するも3年目にして事実上の破綻。再建のうちにお客様の無知に漬け込む業界の体質に対し疑問をもち、2003年に独立。2006年から始めた東京大家塾は、業界のことをわかりやすく教えてくれると好評で累計4,000名を超える受講者が参加し、80億を超える不動産活用に携わり、相談件数は3万件を超える。
〜資格〜
J-REC公認不動産コンサルタント、米国PMI認定PMR®、ファイナンシャルプランナー(AFP)
〜著書〜
「20ステップで再建築NGが再建築OKに甦る手順書」「12ヶ月であなたが不動産コンサルタントになる方法」「15の失敗事例に学ぶV字回復のアパート経営」「不動産実務検定2級テキスト」「不動産実務検定1級テキスト」他多数
目次
マンション売却でかかる税金は6種類
マンションの売却の際にかかる税金は、以下の6つです。
全てが必ず発生する、ということではなく、売却時の様々な条件によって変わっていきます。
- 所得税
- 住民税
- 復興特別税
- 登録免許税
- 印紙税
- 消費税
上記のうち、「所得税」「住民税」「復興特別税」は「譲渡所得」にかかります。
「譲渡所得」とは所得の区分の1つで、マンションを売却したときの利益はこの区分に計上されます。
それ以外の3つの税金は売却の手続き時に関わる税金です。
譲渡所得を求めるための、「取得費」「譲渡費用」に含まれる税金になります。
譲渡所得そのものにはかかりません。
各税金について、ざっくりまとめると以下の通りです。
税金の種類 | 税金の納付時期 | 税率・税金 |
---|---|---|
所得税 | 確定申告時 | 長期所有:15% 短期所有:30% |
住民税 | 確定申告時 (給与天引きなら翌年6月~翌々年5月) |
長期所有:9% 短期所有:5% |
復興特別所得税 | 確定申告時 | 長期所有:0.315% 短期所有:0.63% (譲渡所得税額に2.1%課して納税) |
登録免許税 | 引渡日 | 不動産ひとつあたり1000円 (司法書士に依頼するのが一般的なため1~2万程かかる) |
印紙税 | 売買契約時 | 契約金額によって異なる |
消費税 | 各サービス支払時(仲介手数料、司法書士報酬費用など) | 各料金の10% |
各税金について、詳しく見ていきましょう!
譲渡所得で利益が出た時に発生する税金
譲渡所得で利益が発生した際、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つの税金を納付しなければなりません。
納付する時期は、売却した翌年だけで大丈夫です。
税率はマンションの所有期間によって変動するため、確認しておきましょう。
ただし、復興特別所得税のみ「所得税」に対して一律2.1%をかけた金額が納税額にとなります。
譲渡所得にかけるわけではないため注意が必要です。
それぞれの税率は以下の通りです。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税税率 |
---|---|---|---|---|
短期所有 | 5年以内 | 30% | 9% | 2,1%(0.31%) |
長期所有 | 5年以上 | 15% | 5% | 2,1%(0.63%) |
所有期間は、売却した年の1月1日時点でカウントされます。
例えば2020年の5月にマンションを購入し、5年後の2025年の6月に売ったとしても、売却した2025年の1月1日時点ではまだ5年以下なので、短期所有としてみなされてしまいます。
売却の手続き時発生する税金
売却の手続き時に発生する税金は「登録免許税」「印紙税「消費税」の3つになります。
上記の3つの税金とは異なり、かかる税率や税金、対象がばらばらであるため、1つ1つ解説しています。
売却の手続き時発生する税金④登録免許税
住宅ローンを借りる際に、金融機関がその返済の保障として不動産などに設定する担保として抵当権が設定されます。
抵当権が残っている場合マンション売却することはできないため、抹消する必要があります。
その抵当権抹消時にかかる税金が登録免許税となります。
抵当権を抹消するためには、ローンを返済を終えていなければなりません。
住宅ローンを完済したときの借入先金融機関からの書類等の必要書類を揃え、抵当権抹消登記申請を行うことができます。
しかし、、マンション売却価格から売却にかかる諸経費を引いた手取り金額で残債を完済できれば、抵当権の抹消書類を取得できます。
抵当権抹消のための登録免許税は、不動産ひとつあたり1,000円です。
マンションの場合、土地と建物の両方に抵当権が設定されているため2,000円の登録免許税がかかります。
抵当権抹消の手続きは複雑であるため、司法書士に任せることが一般的です。
手数料を含め1~2万円ほどかかると考えておくとよいでしょう。
売却の手続き時発生する税金⑤印紙税
不動産の売買契約書に収入印紙を必要額だけ添付し、納める税金のことです。
収入印紙を購入して契約書等に貼付することで間接的に納税することになります。
印紙税の金額は取引額に応じて異なります。
また、平成26年4月1日から令和4年3月31日の間に作成された不動産売買契約書の場合、印紙税には軽減税率を適用することができます。
取引額に応じてかかる軽減税率適用後の印紙税は以下の通りです。
取引額 | 軽減税率 |
---|---|
100万円以上500万円以下 | 1,000円 |
500万円以上1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円以上5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円以上1億円以下 | 30,000円 |
1億円以上5億円以下 | 60,000円 |
5億円以上10億円以下 | 160,000円 |
10億円以上50億円以下 | 320,000円 |
50億円以上 | 480,000円 |
売却の手続き時発生する税金⑥消費税
消費税居住用の自宅マンションや別荘マンションを売却した場合は、消費税はかかりません。
ただし、マンションの売却時に不動産会社に支払う仲介手数料や、抵当権を抹消する際に司法書士に支払う報酬などには消費税がかかります。
一方で、投資用マンションや収益物件など、事業に関係ない個人的な資産を売却した場合は建物の部分にのみ消費税がかかるため、その点は注意しましょう
- マンション売却でかかる税金は「所得税」「住民税」「復興特別所得税」「登録免許税」「印紙税」「消費税」の6種類
- 「所得税」「住民税」「復興特別所得税」は、譲渡所得にかかる税金
- 「登録免許税」は、マンションを売却する際に抵当権を抹消する手続きにかかる税金
- 「印紙税」「消費税」は全員納税の義務がある
マンション売却でかかる譲渡所得の算出方法は?
ここまでで、「所得税」「住民税」「復興特別住民税」は、譲渡所得で利益が生じた場合にのみ課せられると解説してきました。
では、譲渡所得で利益が出る場合とはいったいどういう場合なのでしょうか?
それは、「譲渡価額」が「取得費」と「譲渡費用」の和を上回った場合です。
式で表すと以下のようになります。
譲渡所得 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
以下、ひとつひとつわかりやすくこの中身を説明します!
譲渡所得の内訳①譲渡価額とは
「価額」とは、値段を表す「価格」とは異なり、品物の値打ちに相当する金額、という意味を持った言葉になります。
そのため、譲渡価額とはマンション売却価格だけでなく、そこに固定資産税精算金を加えた金額のことです。
不動産コンサルタント大友哲哉
譲渡価額を式に表すと以下のようになります。
譲渡価額=マンションの売却価格+固定資産税精算金
固定資産税は、その年の1月1日に固定資産を所有している人が課税対象となっています。
そのため、仮に1月2日に固定資産を売却しても、1年分の固定資産税を支払わなければなりません。
しかしその場合、マンションの所有権をもたない売主が損をしてしまいます。
このような不平等を調整するのが、固定資産税精算金です。
不動産に掛かる固定資産税について、引き渡し日前日までの分を売主が、引き渡し日当日の分を買い主が負担する、というものになっています。
ちなみにマンション売却に関しては、管理費の精算を行うことがありますが、この精算金については譲渡価額に含まれないため注意が必要です。
譲渡所得の内訳②取得費とは
売却したマンションを購入した際にかかったのことを、まとめて取得費といいます。
取得費には、マンションそのものの購入代金のみならず、購入時の手数料やリフォーム代金等も含めることができます。
取得費を申請することで、譲渡所得を抑えられるため、節税対策になります。
以下は主な取得費の例です。
- マンションの購入代金
- 建築代金(リフォーム代含め)
- 購入の際に支払った仲介手数料や測量費
- 購入の際にかかった税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税)
- 住宅ローンの借り入れから入居にまでかかった利子 など
また、取得費については国税庁のホームページで確認できます。
取得費を求めるには、土地購入価額と、建物購入価額に分ける必要があります。
マンションのような建物は年月の経過により劣化するため、その価値に相当する金額を建物購入価額から引かなければならないからです。
その金額を減価償却費といいます。
以下が取得費を求める式になります。
取得費=土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)
減価償却費により、5,000万円で購入したマンションは、いつまでも5,000万円の価値というわけではなく、いくらか価値が下がってしまうというわけです。
減価償却率については建物の構造や用途によって数値が定められています。
以下が主な建築方式の減価償却費になります。
建築方式 | 非事業用(マイホーム等) | 事業用 (賃貸マンション) |
---|---|---|
減価償却率 | 減価償却率 | |
木造 | 3.1% | 4.6% |
鉄筋コンクリート | 1.5% | 2.2% |
減価償却費は建物の用途や構造により計算方法が異なりますが、居住用マンションの場合は以下のようにして求めます。
減価償却費=物件の購入価格×0.9×0,015×経過年数
経過年数は築年数ではなく、購入の引渡から売却の引渡までの所有期間を表します。
6ヶ月以上の端数が出た場合は1年と計算し、6ヶ月未満の端数が出た場合は切捨てで計算します。
譲渡所得の内訳③譲渡費用とは
譲渡費用としては、以下のような項目を計上することができます。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 売却に伴う広告費
- 立退料
- 解体費用
- 売却の際、買い手からの要請で行ったリフォーム費用
- 売買契約後、より有利な条件で売るために最初の契約者に支払った違約金
- 借地上のマンションを売る際、地主の承諾を得るために支払った名義書換料 など
また、譲渡費用については国税庁のホームページで確認できます。
- 譲渡所得は、「譲渡価額ー取得費ー譲渡費用」で求められる
- 譲渡価額は、「譲渡価額=マンションの売却価格+固定資産税精算金」で求められる。
- 取得費は、「土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)」で求められる。
- 減価償却費は、購入時のから経年劣化をにより損なわれた金額のこと。
- 譲渡所得を抑えることで節税対策になるため、諸費用は沢山計上しておくと良い
マンション売却でかかる譲渡所得の計算シミュレーション
譲渡所得が実際にはどれぐらいの金額になるか計算していきたいと思います。
条件は以下になります
経過年数:20年
所有期間:7年
マンション購入時の価額:5,000万円
マンション売却時の価格:6,000万円
土地購入価額:3,000万円
建物購入価額:2,000万円
固定資産税精算金:5万円
譲渡費用:400万円
金額を変えれば実際の譲渡所得が算出できるため、是非参考にしてください。
譲渡価額を求めます。
計算方法は以下の通りです。
譲渡価額=マンションの売却価格+固定資産税精算金
=6,000万円+5万円
=6,005万円
取得費を求めるため、減価償却費を求めます。
減価償却費 = 建物購入価額×0.9×償却率×経過年数
= 2,000万円×0.9×0.015×20年
= 540万円
よって取得費は以下のように求められます。
取得費 = 土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)
= 3,000万円+(2,000万円-540万円)
= 3,000万円+1,460万円
= 4,460万円
譲渡費用は400万円と分かっています。
そのため、上記の計算結果から、
譲渡所得 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
=6,005万円-(4,460万円+400万円)
=1,145万円
このようにして譲渡所得は1,145万円と求めることができます。
譲渡所得を1,145万円と求めることができました。
この時、譲渡所得に利益が出ているため税金のが発生します。
上記したように、譲渡所得にかかる税金は「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つです。
以下が税率の表になります。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
短期所有 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期所有 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
所有期間が5年以上であるため「長期所有」の税率が適応されます。
よって、
税金 = 譲渡所得×税率
=1,145万円×0.20315
=232万6000円(100円未満切り捨て)
計算結果は100未満は切り捨てされます。
マンション売却の際に利用できる税金の控除や特例制度は?
マンション売却では税金がどうしても多くかかってしまいがちです。
そこで、ここでは、少しでも税金を安くするための控除について徹底解説していきます!
マイホームを売った時の軽減税率の特例【所有期間が10年以上の場合】
ただし、長期所有の中でも、所有期間が10年を超えると、更に税額が安くなるのです。
売却額が6,000万円以内の部分について、所有期間が5年以上10年未満の長期所有と比較して、税金が約6%安くなります。
この特例を利用すると、税率は以下の通りになります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
6,000万円以下の部分 | 10% | 4% | 0.21% | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
また、この制度は次に紹介する3000万円特別控除と併用が可能です。
3000万円特別控除【譲渡所得が出た場合】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円
特例の適用の結果、譲渡所得がマイナスになる場合、譲渡所得は0として扱われ税金は発生しないことになります。
以下の条件を満たしていれば、譲渡所得税を計算する際の売却益となる部分から3000万円を控除することができます。
- 売却する物件がマイホームである
- 売主と買主が親族ではない
- 過去3年間のうちで同様の特例や、買換え特例や譲渡損失の繰越控除(後述)を受けていない
また3000万円特別控除は、所有者1人につき最大で3000万円の控除が可能という内容です。
つまり、マンションを夫婦で半分ずつの共有していた場合には、6,000万円の控除をうけることが可能です。
ただし、後述の住宅ローン控除や買換え特例、譲渡損出の繰越控除などとの併用はできないので、注意しましょう。
住宅ローン控除【マンションを買い替える場合】
住宅ローン控除とは返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間に渡り、所定の額が所得税から控除される税金特例です。
マンションを買い替える際、買い替え先のマンションで住宅ローン控除を利用すれば、所得税や住民税の負担を大幅に減らすことができます。
ただし、「3,000万円特別控除」や「軽減税率の特例」、「特定の居住用財産の買換え特例」の3つの特例と同時に併用することはできない点に注意しなければなりません。
マンションの売却価格によって、3000万円特別控除を利用した方が良いか、住宅ローン減税を利用すべきかどうかは異なります。
買換え特例【マンションを買い替える場合】
2021年12月31日までに、元の住宅を売却した価格よりも高い価格の住宅を買い替えた場合、譲渡所得のうちの住み替え先の住宅代金相当額までは、課税を繰り延べすることができます。
ただし、あくまで「繰り延べる」だけなので、税金自体がなくなるわけではない、という点に注意しておきましょう。
買換え特例を利用するためには以下の条件を満たす必要があります。確認しておきましょう。
- 自分が住んでいる住宅を売ること
- 以前に住んでいた家の場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
- 過去3年間で、3000万円控除や10年超所有の場合の軽減税率の特例、買換え特例、譲渡損失の繰越控除を利用していない
- 売却価格が1億円以下
- 居住期間が通算10年以上で、所有期間が10年以上
- 買い替え先の住宅の床面積が50㎡以上
- 自宅を売った年の前年から売った年の翌年までの3年間の買い替え先の住宅を取得すること
- 買い替え先の住宅が耐火建築物の中古住宅の場合は築25年以内、または現行の耐震基準を満たすもの
- 親族に対して売ったものではないこと
譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例【マンション売却で損した場合】
譲渡所得がマイナスの状態のことを、譲渡損失といいます。
マンション売却の際、この譲渡損失が出た場合は、その年の給与所得や他の所得と相殺して、所得税や住民税を減らすことができます。
このことを損益通算と言います。
譲渡損失がその年の他の所得より大きく、相殺しきれない場合は、よく年以降の所得からも繰り越して差し引くことができる、という「繰越控除」の特例が利用できるのです。
ただし、譲渡損失の損益通算・繰越控除には、買い替えの場合に利用できるタイプと、買い替えず売却のみの場合に利用できるタイプと、2つのタイプがあります。
利用の条件は以下の表の通りです。
買換えの場合・売却の場合の両方に共通する条件 | 自宅または自宅だった住宅を売却すること(以前住んでいた家の場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること) 過去3年間に「3000万円特別控除」「10年以上の所有の軽減税率の特例」「買換え特例」や「譲渡損失の繰越控除」を利用していないこと 所有期間が5年以上であること 合計所得金額が3000万円以内であること(3000万円をこえる年は繰越控除不可) |
---|---|
買い替えの場合に満たすべき条件 | 売却した年の前後3年の間に新居を取得すること 新居を購入する際に住宅ローン(返済期間10年以上)を借りること 売却した住宅の敷地面積が500㎡以内であること(500㎡を超える部分の譲渡損失は対象外) 買い替え先の住宅の床面積が50㎡以上 |
買い替えず売却のみの場合に満たすべき条件 | 売却の前日に売却するマンションに住宅ローン残高(返済期間10年以上)があり、売却価格がこれを下回っていること |
- 所有期間10年以上のマンションを売却する際は、軽減税率が適用できる
- 譲渡所得が出た場合、3000万円特別控除が利用できる
- マンションを買い替える場合、住宅ローン控除か買換え特例を利用できる
- マンション売却で損をした場合は、繰越控除の特例を利用できる
- 繰越控除の特例は、買い替えの場合に利用できるタイプと、買い替えず売却のみの場合に利用できるタイプがある
- 3000万円特別控除・住宅ローン控除・買換え特例・損益通算の繰越控除の中から2つ併用することはできない
- ただし、10年以上の軽減税率と3000万円特別控除は併用可能
相続したマンションを売却した場合にかかる税金
相続したマンションを売却する際の譲渡所得については、求め方が少し変わっていきます。
まず、相続した不動産の所有期間は、相続を受けてからの期間ではなく、元の所有者が所有していた期間がカウントされます。
つまり相続してから5年以下の場合でも、元の所有者が5年以上保有していた場合は、長期譲渡所得が適用されるのです。
また取得費については、元の所有者がそのマンションを購入した際の代金や手数料から求めることができます。
つまり、相続により取得をした不動産の取得した日と取得費は、亡くなった人が取得した日と取得費を、相続人が引き継ぐということです。
かかる税金については特に変更はありません。
しかし、譲渡所得を計算する際に、特例を適用でき税金を安くすることができます。
取得費加算の特例
相続税の申告期限3年以内に相続したマンションを売却した場合、納税をした相続税のうちから一定の金額を取得費に加算できる特例を適用できます。
これを「取得費加算の特例」といいます。
- 相続などにより財産を取得している
- その財産を取得した際に相続税が課税されている
- その財産を、相続開始の3年10ヶ月以内に売却している
また、取得費に加算できる相続税額については、以下のようにして求めます。
取得費に加算できる金額=相続税額×売却したマンションの課税価格÷(相続した財産の合計の課税価格+債務控除額*)
*死亡したマンションの元の所有者が残した借入金など、遺産総額から差し引ける債務額のこと
小規模宅地等の特例
親の自宅だったマンションを相続する際、土地の評価額が5割から最大8割減額される「小規模宅地の特例」を利用することができます。
この特例を利用することで相続税を軽くすることができますが、取得費に加算できる相続税も少なくなってしまうため注意が必要です。
相続したマンションを売却する予定がある場合、小規模宅地等の特例で相続税を減らすか、この特例は受けずに取得費加算の特例を受けた方が良いか、どちらが得になるかを比較する必要があります。
マンション売却でかかる税金の納付期限と納付方法
各税金によって支払うタイミングが異なるため、注意が必要です。
税金の種類 | 納税時期 | 納税方法 |
---|---|---|
所得税 | 売却した翌年の2月16日〜3月15日 | 確定申告時に納税 |
住民税 | 毎年4~5月頃 | 納付書により一括、もしくは分割納付 |
復興特別税 | 確定申告時 | 納付書により一括、もしくは分割納付 |
登録免許税 | ローン完済後、法務局で抹消手続きする際 | 法務局での手続き |
印紙税 | 売買契約時 | 売買契約書に印紙を添付 |
消費税 | 売買契約時 | 代金決済時 |
また、3000万円特別控除や所有期間10年以上のマイホームを売却する際の軽減税率を利用する際も、確定申告時に以下のものを用意する必要があります。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 売却したマンションと土地の持分の登記事項証明書
確定申告の書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。




マンション売却で税金以外にかかる費用は?
しかし、マンション売却の際にかかる費用はもちろん税金だけではありません。
以下、税金以外にマンション売却でかかる費用を紹介します。
マンション売却で税金以外にかかる費用①仲介手数料
マンション売却の際、仲介を不動産会社に頼む場合には仲介手数料がかかります。
計算方法は以下の通りです。
(売却額×3%)+6万円
ただし、売却価格が400万円以下の場合は、計算式が異なります。
2018年1月1日から仲介手数料の料率が改正されたため、不動産会社は仲介手数料として最大18万円受け取ることができるようになりました。
▼マンション売却でかかる仲介手数料について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。


マンション売却で税金以外にかかる費用②ローン残債の返済費用
ローンの残債が残っている場合は、残債を返済しなければなりません。
得られた売却益や、手元資金を使って返済したり、住み替えの場合はローンの組み替えという選択肢があります。
マンション売却で税金以外にかかる費用③その他の費用
マンションを売却する際には、本記事でいままであげた項目以外にも諸費用がかかります。
例えば、引越しの費用や住所変更登記の費用、また内覧のためのハウスクリーニング代など。
事前にリストアップしておき、費用を確認しておくと良いでしょう。
以下、参考程度の費用表になります。
項目 | 目安額 |
---|---|
廃棄物の処分費 | 10万〜50万円 |
敷地の測量費 | 50万〜80万円 |
建物の解体費 | 100万〜300万円 |
ハウスクリーニング代 | 5万円〜15万円 |
引越し費用 | 平均相場は11万程度 |
あくまで参考ですので、きちんと自分で調べることを欠かさないようにしましょう。
マンション売却の税金 まとめ
ここまで記事を読んでくださっている方なら、どのくらいの税金がかかるのか、イメージがかなりついてきたのではないかと思います。
ただし、本記事ではマンションの土地の持分への税金については考慮していません。
マンション売却にかかる税金を自力で精密に算出するには、詳細な情報の収集や計算式の理解が必要になり、非常に大変です。
税金に詳しいプロに相談する方が、スピーディーに正確に納税額を知ることができるのでオススメです。
また、相談の時間や費用が惜しい方は、無料の不動産一括査定サイトを利用するのもおすすめです。
▼無料の不動産一括査定サイトについて詳しく知りたい方はこちら


ただし、本記事で紹介したマンションの売却時の税金や控除、特例の知識は必ず売却時に生きてきます。
しっかり復習して、損のないマンション売却を成功させましょう!
- マンション売却でかかる税金は6種類ある
- マンションの売却の際に生じた利益のことをという
- 6種類のうち、「所得税」「住民税」「復興特別税」は譲渡所得にかかる
- 他の「登録免許税」「印紙税」「消費税」は売却の手続きに関わる
- 譲渡所得は「譲渡所得=譲渡価額ー(取得費+譲渡費用)」で求めることができる
- マンション売却にかかる税金には、控除が利用可能
- 併用できるものあるため、一番得になる特例を選ぶ
- マンションを買い替える際は、「住宅ローン控除」か「買換え特例」を利用できる
- マンション売却で損をした場合は、「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が利用可能
- 税金の計算については、プロや不動産一括査定サイトを利用すると楽