このように現在、様々な理由から土地を売却しようと考える方がいると思いますが、土地の売却価格を調べる方法をしっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、3つの土地の売却価格を調べる方法を紹介していきます。
この記事でわかること
- 売却価格を調べる前に知っておくべきこと
- 土地の売却価格を調べる3つの方法
- 不動産鑑定士に依頼したら
土地の売却価格を調べる前に知っておきたいこと
日本の土地は国土交通省や国税庁などの行政が、その目的に応じて価格を設定しているため、複数の公の価格が存在します。
一般的によく利用されるものが「一物四価」や「一物五価」ですが、これらを聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。
まずはその意味について、説明していきます。
一物四価とは?
①公示価格
公示価格とは地価公示法に基づいて、国土交通省が毎年1月1日を基準日として、標準地における単位面積あたりの価格を3月に発表します。
一般の土地取引価格の指標や、公共事業用地取得のための補償額算定等の基準に利用されます。
②路線価(相続税評価額)
路線価とは、国税庁が毎年1月1日を基準日として7月に発表される、主要な道路に面した1平方メートルあたりの評価額のこと。
路線価は相続税や贈与税の算定基準として用いられ、公示価格の80%が目安になっています。
③固定資産税評価額
固定資産税評価額は、市町村が1月1日を基準日として3月に発表するものです。
固定資産税や不動産取得税などの計算の基になる評価額で、公示価格の70%が目安になっています。
④基準地標準価格
基準地標準価格とは、都道府県知事が7月1日を基準日として9月に発表するものです。
都道府県知事が選択した基準地の標準価格です。公示価格を補完する役割を担っています。
一物五価とは?
一物四価で紹介した、
- 公示価格
- 路線価
- 固定資産税評価額
- 基準地評価額
に実勢価格を加えたものを一物五価と言います。
実勢価格とは
別称「時価」ともいわれ、実際に売買される取引価格のことをいいます。
実際に取引をしていない土地に関しては、周辺の売買事例から推定されます。
では次から本題の、土地の売却価格を調べる3つの方法を紹介します。
1国土交通省の土地総合情報システムを活用
所有する土地の価格を調べる方法の一つとして、「国土交通省の土地総合情報システム」というものを活用する方法があります。
土地総合情報システムとは
土地総合情報システムでは、地図上で都道府県や市町村を選択可能。
初めての方でも簡単に、地価公示価格や都道府県地価調査価格を調べることができます。
実際の売却価格(実勢価格)を知りたい場合は、国土交通省土地総合情報システムの不動産取引価格情報検索を活用することで、調べることができます。
2不動産情報サイトを活用
土地の売却価格を知る方法の一つとして、不動産情報サイトを活用するという方法があります。
一般的なものは不動産一括査定サイトです。土地などの売却を考えている際に活用することができます。
最大のメリットは、ネットで複数の不動産会社の査定が行えるという点。
不動産一括査定サイトを利用して複数の不動産会社に実際に土地を確認してもらい、条件の良い不動産会社に売却することができます。
ただし、こういったサイトを利用することで様々な不動産会社から連絡が入ります。
今すぐに売却する意思がない場合などには、連絡が面倒に感じる場合がありますので注意が必要です。
3不動産鑑定士に依頼
土地の価格は、取引を行なう買い手と売り手のそれぞれの事情によって大きく影響を受けます。
そこで、不動産の専門家である「不動産鑑定士」に依頼をして、土地の価格が適正かどうかを所定の基準に沿って評価してもらいます。
不動産鑑定評価基準には、様々な種類がありますので詳しく紹介していきます。
不動産鑑定評価基準における評価の価格
正常価格
正常価格とは、売り手買い手共に特別な事情がない場合に、お互いが納得して不動産を売買する取引価格です。
限定価格
限定価格とは、取引相手が限定されていて、その当事者同士が決める売買価格です。
特定価格
特定価格とは、様々な事情から早くに財産を処分する必要がある場合などに、そのような事情を考慮して算定された取引価格です。
特殊価格
特殊価格とは、一般的に売買が想定されていない不動産などについて求める取引価格です。
不動産鑑定士による評価の手法
原価法
原価法とは、同じ建物を作るにはいくらかかるかという面から不動産の価格を求める方法で、主に建物に活用される方法です。
また土地だけの場合は、主に造成地や埋立地などに利用されます。
ただし、既成の市街地などの土地については再調達原価が算定できない場合があり、原価法はあまり使用されません。
取引事例比較法
取引事例比較法とはその名の通り、多数の取引事例を集めて、最も適切な事例を参考に事情修正を行い算出する方法です。
なお、取引事例と比較する際にタイムラグが生じていて、価格水準の変動がある場合などがありますので、それらを修正(時点修正)します。
さらに、地域特性による価格への影響や不動産の個別価格を比較して修正します。
これらのように、比較考量を行い対象不動産の価格を求める方法を取引事例比較法といいます。
収益還元法
賃貸用不動産や、賃貸以外の事業に使用する不動産の価格を求める場合には特に、収益還元法という方法が使用されます。
自用の不動産であっても、賃貸を想定することで適用が可能です。
評価対象不動産が、賃料など将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価格の総和を求めて、その不動産の価格を算出します。
また収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類があります。
直接還元法
DCF法
不動産投資などに利用される場合には、DCF法がよく利用されます。
まとめ
今回、土地の売却価格を調べる3つの方法について紹介してきましたが、土地の価格を調べるには様々な方法があります。
実際の売却価格が知りたい場合
不動産鑑定士に依頼をする
など使い分けてみてください。
土地の売却は一生のうちに一度あるかないかです。
様々な事情や理由から土地の売却を検討されてることかと思いますが、失敗しないためにも、ぜひ今回紹介した売却価格の調べ方を参考にしてみてください。