ポンド円の取引に興味ある人の中には、「ポンド(GBP)は上級者向け」と過去に耳にして、取引経験がないトレーダーは多いのではないでしょうか。
ポンドはドルとユーロ、そして日本円に次いで取引数の多い通貨です。
そのためFXで取引をしている人は、ポンドについて理解を深めておくと良いでしょう。
この記事では、ポンド円の特徴や相場について解説します。
ポンド円の特徴(端的に)
ポンド円の特徴を3つご紹介します。
①ボラティリティ(値幅)が大きい
ポンドはボラティリティの大きさが特徴であり、これが「ポンドは上級者向け」と呼ばれる理由の1つです。
②多くの情報を得られる
ポンドはイギリスで使用される通貨です。
イギリスの首都ロンドンは金融で有名な地であるため、ポンドは世界的に注目度が高い通貨です。。
そのため流通量が多く、取引に役立つ情報を仕入れやすいのです。
③流通量が多い
ポンドの流通量の多さは米ドル・ユーロ・円に続いて世界4位です。
出典:Bank for International Settlements
国際決済銀行(Bank for International Settlements)の情報によると、2019年に世界で取引された通貨の割合は、米ドルが88%、ユーロ32%、日本円17%、そしてポンド13%でした。
④スプレッドが広がり過ぎない
ポンドは流動性の高い通貨であるため、急な価格変動が起きてもスプレッドが広がり過ぎる心配はありません。
もし流動性の少ない通貨であれば、買いと売りの値に大きな差が生じてスプレッド分の損失は大きくなりますが、流動性の高い通貨ではそのような事態は起きにくいのです。
イギリスの概要
イギリスはイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの4つの島からなる国です。
イギリスのポンドは歴史ある通貨の1つであり、世界大戦前は世界の基軸通貨として使用されていた過去がありました。
しかし大戦後に行われたブレトンウッズ会議により、世界の基軸通貨はドルとされます。
その後ヨーロッパの国々の間で、欧州統一の声が高まっていき、やがてEU(欧州連合)が完成しました。
しかしイギリスでは、長年に渡ってEU離脱(ブレグジット)の議論がされており、2016年には国民投票でEU離脱派が過半数を獲得しています。
そして2020年1月、とうとうEU離脱協定法が成立し、2020年末まで移行期間となりました。
ポンド円はボラティリティが高い
ポンド円はボラティリティの高さが特徴です。
その値幅はドル円の2倍以上あります。
(日足:左ドル円、右ポンド円:MetaTrader 4)
上の画像はドル円とポンド円の日足チャートです。
2020年10月から12月までの値幅を見ると、ドル円は約2.5円なのに対して、ポンド円は約6円の値幅を確認できました。
次に週足チャートを見てみましょう。
(週足:左ドル円、右ポンド円:MetaTrader 4)
2020年2月前後は、新型コロナウイルスの影響で為替も大きく変動していました。
その際の値幅は、ドル円が約10円、ポンド円が約20円です。
このようにポンド円のボラティリティは、ドル円の倍以上であると分かります。
ポンド円のスワップポイント
スワップポイントは、国の政策金利差を元に調整された金利が、ポジション保有者に配布されます。
結論としては、ポンド円のスワップポイントは少な目です。
2020年12月17日に、3社のFX会社で配布されたスワップポイントをご紹介します。
プラススワップ | マイナススワップ | |
---|---|---|
外為どっとコム | 1 | -26 |
FXプライムbyGMO | 10 | -35 |
みんなのFX | 13 | -15 |
出典:外為どっとこむ
みんなのFX
FXプライムbyGMO
なお各国の政策金利は以下の通りです。
国 | 政策金利 |
---|---|
日本 | -0.1 |
イギリス | 0.1 |
アメリカ | 0.25 |
ユーロ | 0 |
カナダ | 0.25 |
オーストラリア | 0.25 |
南アフリカ | 3.5 |
トルコ | 10.25 |
参考:外為どっとコム|政策金利一覧
※2020年10月時点
比較すると、イギリスの政策金利が他の国々と大きく変わりません。
日本との金利差は0.2%ということもあり、ポンド円はプラススワップは小さいです。
同様にマイナススワップも小さくなると思いきや、プラススワップよりも数倍大きいFX会社もあります。
このようにスワップポイントはその日によって異なり、またFX会社ごとに差があるため、特にショートポジションを保有する際には注意しましょう。
ポンド円の過去の相場、高騰・暴落の原因
日時 | 内容 | 価格変動値 |
---|---|---|
2007年11月 | BOE(イギリス中央銀行)の利上げ | 1年の間で約50円上昇 |
2009年1月 | リーマンショック | 5か月で約75円の下落 |
2015年7月 | 日本の円安誘導 | 2年半で約45円の上昇 |
2016年6月 | EU離脱の国民投票 | 1か月の間に約22円下落 |
2000年以降、イギリスの経済は好調であり、2007年11月には1ポンド250円となりました。
その要因の1つが、BOE(イギリス中央銀行)による利上げです。
しかしその後2008年9月にリーマンショックが発生し、ポンドもダメージを受けます。
ポンド円は5か月かけて約75円下落しました。2009年1月には、1ポンド118.79円となります。
その後20011年9月には、ヨーロッパ金融危機の影響でポンド円は116.81円と史上最安値を更新します。
また2013年始め頃から、日本が円安誘導を始めそれに影響されポンド円は、2015年7月には195.883円まで上昇しました。
そして2016年6月、イギリスではEU離脱(ブレグジット)の国民投票が行われます。
結果はEU離脱派が過半数を獲得し、 ポンド円は一気に約22円下落しました。
以降はEU離脱が意識されるタイミングで、ポンド円が変動するようになりました。
イギリスのEU離脱はポンド円にどう影響するか
2016年以降ポンド円は、イギリスのEU離脱が意識されたタイミングで下落しています。
もしイギリスがEUと合意せずに離脱した場合は、投資家がリスクと捉えポンド円が急落する可能性があるでしょう。
一方でEU離脱が取り消しになったり、ブレグジットが上手くまとまれば、ポンド円は上がるかもしれません。
ポンド円を取引するときは、特にEUとの動向に注目してください。
ひろぴー
2010年からFX取引をはじめ、2013年、アベノミクスの恩恵もあり、FX取引で資産を急激に増加、この年からFX最大ポータルサイトのZAIFXでの企画出演をはじめ、インタビューを受けるようになる。
2014年には、ZAIFXとYahooファイナンスのコラボレーション企画で、タレントのボビー・オロゴンさんや福田萌さんとのトレードバトルが話題となり、2016年から2019年まで、ラジオ日経のFX番組トレードパーティーでラジオパーソナリティーを務める。
現在は週5本のFXや仮想通貨ポータルサイトのコラム執筆、講演、ラジオのレギュラー番組を持ちつつ、自己資金の資産運用も実施している。