豪ドル(AUD)は、オーストラリア(豪州)の法定通貨で、通称は「オージー」です。
豪ドルには「資源国の通貨(オセアニア通貨)」といったイメージを持つ人が多いと思います。
しかし豪ドルの特徴やNZドル(ニュージーランドドル)との違いまでは、知らない人もいるでしょう。
そこで今回はプロトレーダーのひろぴーが、豪ドルについて堀り下げて解説します。
豪ドル(AUD)はゴールドと値動きが連動しやすい!
出所:TradingView(1時間足)
豪ドルの最大の特徴は、値動きが金や鉄鉱石等の商品先物と連動しやすい点です。
中でも金(ゴールド)との連動性は特に高いです。(上図)
オーストラリアの金産出量は世界第2位で、同国の貿易輸出の15%以上は鉱石となっています。
そのため金の需給は、オーストラリア経済へ大きな影響を与えると予想できるので、値動きが連動しやすいのでしょう。
参照:外務省
豪ドル(AUD)の特徴・傾向
上記以外の豪ドルの特徴と傾向も見てみましょう。
- ニュージーランドドルと合わせて、オセアニア通貨に分類される
- アジア時間(午前6時~15時)はボラティリティが高い
- 週明けは世界で最初に開く市場なので特に変動しやすい
- リスクオン通貨なので、世界の景気見通しが悪い時は下落する
- RB(Reserve Bank of Australia:豪州準備銀行)の発言で変動する
- 中国とは友好関係にあるが、2020年になり関係が悪化している
オーストラリアは新興国なので、先進国よりも通貨(AUD)の取引量は劣ります。
そのため世界的に不景気なときは、決済しやすい先進国の通貨が買われるので、豪ドル等の新興国の通貨は下落しやすいのです。
またオーストラリアのシドニー市場は、日本時間の6時に開き16時に閉まります。
豪ドル(AUD)のスワップポイントと政策金利
引用:外為どっとコム
豪ドルのスワップポイントは、現時点(2020年10月末)ではどの通貨ペアにおいても、マイナススワップが目立っている状況です。
実はオーストラリアは2012年頃までは高金利通貨でした。
しかし同国の成長鈍化や中国や、アジア諸国の景気減退により徐々に政策金利が下がり、現在は0.25%と低金利になっています。
豪ドル(AUD)の相関性
1時間足
冒頭でも紹介しましたが、豪ドルは金との連動性が高く、変動幅は違いますが値動きのタイミングや方向は同じことが多いです。
それを踏まえ、ダイバージェンスからの収束を狙った逆張りや、乖離方向へのトレンド発生を見越した順張りなどの手法が見つけられそうです。
1時間足
原油と豪ドルの相関性は見られませんでした。
オーストラリアでは原油はあまり産出されていません。

月足(2001年〜2020年)
また同じくオセアニア通貨であるNZドルとの連動性は高く、NZドルの方がボラティリティが1.3倍ほど高かったですが、チャート形状はほぼ同じでした。
NZドルはより取引量が少ないので、価格が敏感に反応しやすいのでしょう。
2021年以降、中国との関係悪化で下落か
豪ドルの通貨ペアを長期でロングするのは、中国との関係が回復した後が良いでしょう。
オーストラリアは中国と戦略的パートナーの関係にあります。
2014年には、習近平国家主席がアボット首相(当時)と会談し、両国関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」に引き上げています。
また2015年には、両国間のFTA(自由貿易協定)が結ばれ、牛肉やワイン、石炭など天然資源の中国向け輸出が拡大し、2019年には豪州の対中輸出の割合が38%を占めています。
ところが2016年にオーストラリアの議員が、南シナ海の問題について中国寄りの発言をしたことにより、内政干渉(他国への政治介入)が疑われてから両国の関係の雲行きが怪しくなりました。
そして2020年10月13日に、中国がオーストラリアからの石炭輸入を停止していることが判明し、両国の関係は悪化の一途をたどっています。
参考:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201003/k10012646391000.html
https://www.nna.jp/news/show/1956808?id=1956808